キプロス

2002/09/25 (2年前の記憶をたどりつつ)

地学

キプロスは、地中海に浮かぶ島で、トルコの南にある。 島全体が Troodos Ophiolite でできていて、良い露頭がたくさんある。 東西に軸を持つ背斜構造をしていて、中央の高い山にマントル岩が 出ており、南北に下っていくと、上位の地層が見られる。

気候的には温暖で乾燥しており、植生もだいぶんまばらで、 地質を見るのには適している。

歴史と社会

地中海の要衝にあるだけに、いろいろ複雑な歴史を持っている。 その結果として、現在、北と南に分裂している。 北にはトルコ系の住民が住み、南にはギリシャ系の住民がいる。 間は軍事的な境界線で区切られており、行き来はほとんどない。

おおざっぱにいえば、以下のような経緯がある。

  1. もともとギリシャ系の人が住む島だが、かつてオスマントルコの 領土だったことがあり、トルコ系の住民がいる。ギリシャ系が多数派、 トルコ系が少数派である。
  2. その後、しばらくイギリスの植民地であった。
  3. 1960 年、独立し、ギリシャ系の人とトルコ系の人が共同の政府を作ったが、 やがて仲たがいをする。
  4. そのうち、ギリシャ系の人がやっぱりギリシャと一緒になりたいという 雰囲気になってきて、それにトルコ系の人が脅威を感じた。 その結果、1974 年、トルコ人を助けるという名目で、トルコが 侵攻してきて、島の北側を占拠した(キプロス紛争)。現在、島の北側は、 実質的には独立国(というかトルコの属国)の状態になっている。 しかし、トルコ以外の国はその国の存在を認めていない。
その結果、現在では、キプロスは南と北に分断されている。とくに 首都のニコシアも南と北に分断されている。境界線はグリーン・ラインと 呼ばれ、現在は国連軍が警備している。

私が行ったのは、南の方で、こちら側はヨーロッパの人々の リゾート地として栄えている。地中海の温暖な気候と明るい太陽を 求めて人々がやってくる。北の方には、トルコからしか入れない。 北の方は、観光も難しいので、経済的には南よりも悪い状態らしい。

言語

ギリシャ語が公用語だが、イギリスの植民地だったせいで、 とくに観光地では英語が良く通じる。

観光地では食事等もイギリス風。

治安

基本的にリゾート地なので、治安は悪くはない。ただ、もちろん、 南北分断問題は続いているので、たまに騒動が持ち上がることがあるらしい。 首都ニコシアではグリーン・ラインまで行けるが、その他の場所では、あんまり 境界線に近寄らない方が無難だろう。

「露頭を見るときには車に轢かれないように注意すること」というのが、 巡検の際の最重要注意であった。たしかに車の運転マナーは、イギリスに 比べるとかなり荒い(なお、イギリスの運転マナーは、平均的には 日本よりも良い。キプロスの運転マナーは、日本より悪い。)。

トイレ

下水道の整備が十分でないらしく、「トイレに紙を流さないこと」というのが 巡検の第二の注意であった。実際、キプロスのトイレの横には、 紙を捨てるゴミ箱が置いてある。

私的情報

訪問日
2000/04/10-20
訪問地
南キプロス各地
主訪問目的
Troodos Ophiolite 巡検