電磁気学の歴史に関しては、豆知識的に参考になることが多かった。 それをいくつかここにメモしておく。
いわゆる「アンペールの法則」
rot B = μJは 1930 年頃以降の呼び誤り。正しい「アンペールの法則」は 電流要素間の力の法則で、しかも現在の形とは違って 中心力になっている。上式の形を導いたのは、実は Maxwell。
いわゆる「マクスウェル方程式」は Maxwell が導いたものではない。
Maxwell が書いたのは、12個もの複雑な式で、ポテンシャルと電場・磁場が
混ざって出てきている。それは Maxwell にとっては、ポテンシャルは、
モデルに基づく具体的な描像を持つものだったからである。現在の
4個の式からなる「マクスウェル方程式」を導いたのは、Heaviside と
Hertz である。したがって、それは Maxwell-Heaviside-Hertz 方程式と
呼ぶのが歴史的には妥当である。
[太田浩一「マクスウェルは世界を変えた」の pp.13-15、
加藤正昭「古典から量子へ」の p.35]
ローレンス(Lorenz)条件
c^{-2} ∂tφ + div A = 0を登場させた Lorenz は、ローレンツ(Lorentz)変換の Lorentz とは別人。
また、最近出た以下の教科書が良いらしい。