一家にある日突然5億円の遺産が他人から舞い込むというのが、物語の始まり。 その結果大騒ぎが起って、というまでは他にもありそうな筋書きである。 ここでは、主人公がその一家の中学生でワトソン役で、その5億円の 裏事情を探りたいと思っている。その友達の島崎がホームズ役でそれを 手伝う。その5億円が元で、父親は家出し、その後、主人公と母親が誘拐 され...と事件が続くが、それを軽いタッチで深刻にならずに書くところが 著者のえらいところ。で、最後の結末も、「みんなハッピー」に近い。 家族の絆もより深いものになる。結局は、その母親も同意で最初から 仕組まれた事件の連続であったということで。 お気楽に軽く読めるところは、赤川次郎と似ている。 家族の絆が出てくるところが宮部らしさか?
ところで、最後に損得勘定をしてみると、小説中では脇役の「加賀美」と いう宝石屋がかなり儲かることになってしまっている。これは どうなるんだろう?と思ってしまうのは野暮というものかもしれない。