地球環境化学入門

Julian E. Andrews, Peter Brimblecombe, Tim D. Jickells and Peter S. Liss 著, 渡辺正訳
原題:An Introduction to Environmental Chemistry
シュプリンガー・フェアラーク東京
刊行:1997/05/15(原著は 1996)
原出版社:Blackwell Science Ltd
名大生協教科書献本
読了日:2002/05/05

ぱらぱらと見て良さそうな本だと思い、名大1年生基礎セミナー用の 教科書に指定した。通読してみたら、実際良い本だった。 もともと英国の大学の1年生向けの教科書で分かり易いし、 内容的にもバランスが取れているし、論理もしっかり追えるように なっていて読みやすい。一般に、地球化学系の教科書は、 著者の専門に偏りすぎていたり、羅列的記載があったりして 読みにくいものが多いのだが、この本はバランスが良く取れている と感じた。また、二酸化炭素問題などに関しても、声高に危機を 煽るのを抑えて不確実性もきちんと書いており、穏当な立場である。
この本で見られた細かい問題点など気付いた点を記しておく。
p.6
planetesimal の訳語の誤り:(誤)超微星体 (正)微惑星
p.6
マントルの組成を MgFeSiO3 のように書いているが、 これは (Mg0.9Fe0.1)SiO3 くらいの方が良い
p.180-181
「劣化玄武岩」「劣化の進んだ」などという言葉がある。 元の英語が分からないのでよくわからないが、 「変質玄武岩」「変質の進んだ」の方が良いのではないだろうか?
p.183,186
primary production の訳語は「基礎生産」もあるが、私の印象では 「一次生産」という方が多い。
p.184
「大気から海に入る金属は」よりも「大気から海にはいる金属が」 の方が良い。