恐怖の掟
Michael Collins著、村社伸訳
原題:Act Of Fear
ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス 1081, 早川書房
刊行:1979/12/31(原著は 1966,67)
古紙回収に出してあったのを拾った
読了日:2002/02/03
隻腕の私立探偵が主人公のミステリ。
この小説は、前半は退屈、最後の3分の1くらいが読みどころである。
最初のうちは、暴力が多いし、陰気臭いし、途中で投げ出そうと思った。
しかし、最後の方で、ニューヨークのやくざと、やくざの世界に
絡め取られた人々の悲哀とか苦しみが生き生きと描かれていて
(大いに誇張されているとは思うが)、おもしろい。
主人公の探偵フォーチューンの言葉
親父とおふくろは、おたがいになっとくした人生を送ったんだ。
自分たちの手で選んだ人生だ。彼らは、あくまで彼らなのだ。
彼らのために身を犠牲にしようとしたこのわたしはいったい
何者なのだ?誰がわたしに、ふたりの人生の責任を取る権利を
与えた?わたしは彼らのために盗みを働いて片腕を失ったんだ!
(中略)
バイキングは彼らの子供、年老いた親をかえりみず船出した。
彼らが利己的だの、冷酷だのということではなく、誠実だったのだ。
それが彼らの生きる道だった。