新版 水の科学

北野康著
NHKブックス 729、日本放送出版協会
刊行:1995/01/25
名大生協で購入
読了日:2002/02/26

この本は、来年度の1年生向けの基礎セミナーのテキストにしようと思って 読んだ。著者が、自分の専門とその周辺に関して、最近考えていることを 一般向けにまとめたような本である。講義のテキストとしては、体系的では ないので不向きだが、いろいろ書いてあるので、ここから問題を探し出して もらうという使い方には良さそうである。海水の起源の問題や、環境問題など 1年生にも興味を持ってもらえそうに思う話題がちりばめられている。

詳しく見てゆくと、内容的には、いくつか不満もある。とくに、 海水の化学組成の話で、私たちが最近研究している海底での熱水循環に 触れられていないのは不満である(色眼鏡がかかっているかもしれないが)。 熱水循環は、海水の化学組成に大きな影響を与えていると考えられている からである。著者は、それほど重要ではないと思っているのかもしれないし、 それを書くのは詳しすぎると思ったのかもしれないし、 そのへんはよくわからない。とはいえ、基礎セミナーでは これを出発点として使ってもらう予定なので、そういう意味では、 いろいろ疑問が残る方がかえって良い。

(後日譚 2002/03/18) 生協からの連絡によると、この本は既に品切のようだ。基礎セミナーの 教科書をどうしよう。困った!