ミロ展は、初期の作品から始まって独自の画風を確立する前半生の作品が 集められていた。画風の変遷が良く分かるように構成されている。 初期(1915-1918)の作品はセザンヌ、ゴッホやフォーヴィズムの影響が強い。 それでもすでに独特の「歌心」のようなものが感じられる気がする。 1918-1923 は素朴な味わいのある細かく書き込んだ独自の画風の 第1弾が出た時期。1924-1929 には、絵は抽象的になる。 諧謔味のあふれる色彩豊かなものが描かれた絵と、 1色の画面にワンポイント的に線や色が入っているような絵の 2系統の絵画が描かれる。 1930-1937 には、独自の形に変形された人や物が描かれ、コラージュなどを含め 実験的な絵画が描かれる。 1938-1946 になると、星、鳥、女などのモチーフが独自の夢のある形に踊りだす。
ミロは、若いとき絵を書きたかったのに、親に反対され会社勤めをしたら、 たちまち病気になり、療養して絵画に専念するようになったそうな。 本当に画家に生まれたついた人というのがいるものである。
ミロは 1931 年にはこう語っていたそうだ。
私は絵画に関するもの一切を、徹底的に壊すつもりです。私は絵画を心から軽蔑している。 私がただひとつ関心をもっているのは、精神そのものです。ミロは寡黙な人だったそうだが、こういうところに 当時30代後半の野心と精神の集中が読み取れる。 と同時に、そうは言いながらやっぱり絵画が好きだったんだろうと思う。