マグリット・ミロ

小学館ウイークリーブック週刊美術館10、小学館
刊行:2000/04/11
愛知芸術文化センター地下美術関連書店にて購入
読了日:2002/11/24

ミロ展:1918-1945

企画・構成: 愛知県美術館、世田谷美術館、中日新聞社
刊行: 2002
愛知県美術館ミロ展会場にて購入
読了日: 2002/11/30
先日、愛知県美術館でミロ展を見た。2月前には名古屋市美術館でマグリット展を見た。 そういったものの記念として読んだ(というより見た)本。

ミロ展は、初期の作品から始まって独自の画風を確立する前半生の作品が 集められていた。画風の変遷が良く分かるように構成されている。 初期(1915-1918)の作品はセザンヌ、ゴッホやフォーヴィズムの影響が強い。 それでもすでに独特の「歌心」のようなものが感じられる気がする。 1918-1923 は素朴な味わいのある細かく書き込んだ独自の画風の 第1弾が出た時期。1924-1929 には、絵は抽象的になる。 諧謔味のあふれる色彩豊かなものが描かれた絵と、 1色の画面にワンポイント的に線や色が入っているような絵の 2系統の絵画が描かれる。 1930-1937 には、独自の形に変形された人や物が描かれ、コラージュなどを含め 実験的な絵画が描かれる。 1938-1946 になると、星、鳥、女などのモチーフが独自の夢のある形に踊りだす。

ミロは、若いとき絵を書きたかったのに、親に反対され会社勤めをしたら、 たちまち病気になり、療養して絵画に専念するようになったそうな。 本当に画家に生まれたついた人というのがいるものである。

ミロは 1931 年にはこう語っていたそうだ。

私は絵画に関するもの一切を、徹底的に壊すつもりです。私は絵画を心から軽蔑している。 私がただひとつ関心をもっているのは、精神そのものです。
ミロは寡黙な人だったそうだが、こういうところに 当時30代後半の野心と精神の集中が読み取れる。 と同時に、そうは言いながらやっぱり絵画が好きだったんだろうと思う。