入門 Fortran90

Larry Nyhoff and Sanford Leestma 著, 渡邊了介訳
原題:Introduction to Fortran 90, Second Edition
ピアソン・エジュケーション
刊行:2001/01/25(原著は 1999)
原出版社:Prentice Hall
名大生協で購入
読了日:2002/06/01

この読書録にこういうハウツー物について書くことは少ない。 たいてい辞書的に使うので、読み通すことが少ないからだ。 にもかかわらず、これを読み通したのは、名大1年生基礎セミナー用の 参考書に指定したからだ。そもそも Fortran90 をいままで 勉強していなかったので、これを機会に勉強しようと思ったのも 理由のひとつである。

この本を選定したのは、そもそも Fortran90 の教科書を買おうと 思ったとき、たまたま本屋にあったのがこの本一冊だけだったからだ。 最近は、一般には C を使う人が増えて、Fortran 人口が少ないため だろうが、Fortran90 の教科書が少ないのは残念なことである。 私としては、C より Fortran の方がきれいなプログラムが書けるので、 Fortran が好きである。

この本は、入門書としては非常に良く出来ていると思う。 例題が豊富だし、プログラム上のよくある間違いや きれいな書き方に関する注意も随所に書いてあって感心する。 Fortran90 の書き方がよくわかる。

ただし、いくつか不満もある。(1)練習問題などに ところどころ細かい間違い(ミスプリ?)がある。 自分でテストプログラムを走らせてみれば 間違っているところはすぐにわかるから、いちいちここで指摘はしないが。 (2)索引がいまひとつ充実していないので、辞書的に使うには不便である。 文法の一覧のようなものもない。(3)数値計算などに良く使うであろう 多次元配列の処理機能などについては、著者の別の本 "Fortran 90 for Engineers and Scientists" を見よということになっていて、 本書にはあまりきちんと書かれていない。まあ入門編ということで しょうがないのかもしれない。とはいえ、その姉妹編の本は 日本語訳がないようなので、日本人にとっては不便である。