この本を選定したのは、そもそも Fortran90 の教科書を買おうと 思ったとき、たまたま本屋にあったのがこの本一冊だけだったからだ。 最近は、一般には C を使う人が増えて、Fortran 人口が少ないため だろうが、Fortran90 の教科書が少ないのは残念なことである。 私としては、C より Fortran の方がきれいなプログラムが書けるので、 Fortran が好きである。
この本は、入門書としては非常に良く出来ていると思う。 例題が豊富だし、プログラム上のよくある間違いや きれいな書き方に関する注意も随所に書いてあって感心する。 Fortran90 の書き方がよくわかる。
ただし、いくつか不満もある。(1)練習問題などに ところどころ細かい間違い(ミスプリ?)がある。 自分でテストプログラムを走らせてみれば 間違っているところはすぐにわかるから、いちいちここで指摘はしないが。 (2)索引がいまひとつ充実していないので、辞書的に使うには不便である。 文法の一覧のようなものもない。(3)数値計算などに良く使うであろう 多次元配列の処理機能などについては、著者の別の本 "Fortran 90 for Engineers and Scientists" を見よということになっていて、 本書にはあまりきちんと書かれていない。まあ入門編ということで しょうがないのかもしれない。とはいえ、その姉妹編の本は 日本語訳がないようなので、日本人にとっては不便である。