Harry Potter and the Philosopher's Stone

J.K. Rowling 著
Bloomsbury
刊行:1997
名大生協にて購入
読了日:2002/11/16
近頃のハリー・ポッター・ブームはすごいものである。 新しい訳本が出版されると、出版社の通常の販路に支障を来たすほどだそうな。 私がイギリスにいた2、3年前、イギリスではすでに話題の本で、 最近の本を読まない子供たちが、一生懸命読んでいるというので話題だった。

子供が読めるのだから、私でも比較的わりとたやすく読めるに違いない と思って、英語版を買って読んでみたのだが、「たやすく」というのは、 半分正しく、半分間違い。1ページあたり数個わからない単語や 言い回しが出てきて、はじめはいちいちそれを辞書であたりながら 読んでいたので、全然先へ進まない。ところが、先週船に乗っていて、 時化て辞書を引くのもつらくなったので、わからないところをすっとばして 読み始めたら、それでも結構行けることが分かって快調に最後まで 行ってしまった。ひとつには、しばらく前にどこだったか海外に行くときの 飛行機の中ですでに映画を見てしまっていたことによる。だいたい 原作に忠実に映画化されているので、それぞれの場面をうろおぼえながら 思い出していくと、大筋は間違えずに読めてしまうわけである。

話は、寝転がって読むのに丁度いい感じにできている。強い個性のある 登場人物がたくさん出てきて、主人公の Harry Potter がその中で いろいろな事件に巻き込まれながら成長して行く物語。1つの章ごとに だいたい1つの事件が配置され、それぞれが楽しく読めるように なっている。そして、それらの事件が折り重なって、最後に Harry が 悪の化身 Voldemort と対決して勝つという、うまいエンターテインメントを 構成している。

Hagrid のスコットランド訛り(のつもりだと思うが)の英語も面白い点の一つ。 Young Sirius Black lent it me. とか He fell asleep as we was flyin' over Bristol. とか標準英語の文法を逸脱した表現が いっぱいでてくる。

イギリスにいたとき、小さいニュースとして、保守的キリスト教団体が 「ハリーポッターには魔法使いが出てくるから、教育上良くない」 と主張したようなことが出ていたのを思い出した。もっとも、そんなことは 全然影響力がなく、ハリーポッターは売れ続けていたが。 それに関することだが、この本の中では、ハリーポッターの魔法使い学校では、 クリスマスのお祝いをしているし、クリスマスには結構魔法使いの 子供たちが帰省している。魔法使いもキリスト教徒だった!?


後日、DVD 版を見てみた。時間短縮のために原作からいろいろ削ってある 部分はあるが、重要なエピソードは全部入っているし、余分に付け加えた 部分はほとんどないという意味で、原作に忠実に映画化されている。 英語は全体的には比較的聞き取りやすいイギリス英語。 Hagrid の英語は、ain't などの少し粗野な表現を使っているものの、 発音や文法は標準的で、スコットランド訛りではない。もっとも 映画雑誌を立ち読みしたところ、Hagrid を演じている俳優は スコットランド人らしいから、少しは訛っていたのかもしれないが、 あまりよくわからなかった。