大特集 苦悶する宰相

文藝春秋 2002 年 4 月号
名大生協で購入
読了日:2002/03/29
最近落ち目の小泉政権に関する以下の論説集。日本の先行きが暗いと思わせる ものばかり。

(SE) はこの中で最も読みごたえのあるもの。小泉「改革」が古いタイプの 行財政改革であり、本格的な構造改革では全くないことを論じている。 経済に関しては、当初ハードランディング路線を選択しながら、 いつの間にか今や先送り路線になってしまっている、とのこと。 著者は、日本の政治経済制度を「大衆民主主義的社会主義」と呼ぶ。 国内製造業・サービス業の生産性が低く、その低生産性セクターが 族議員や官庁と結び付いて、構造改革を阻んでいる、と論じらる。

(TT) は、「真紀子」が俗悪娯楽番組であるというまあそれだけのお話。

(SY) は、鈴木宗男が、国益に反しロシアの国益になるような行動を 取っていたという、最近では良く知られるようになった話。

(TM) は、田中真紀子のトリックスターとしての役割の解説。

(YNSSI) は、自民党「若手」代議士の対談。テレビのニュース番組でも よく聞くようなお話。

(IH) は、世論というのがいい加減なものだというお話。ひとつだけ、 本論とは外れるが、産経新聞の論説委員の花岡信昭氏の引用をしている 部分を、ここで孫引き。「真紀子さんはいいことをしたのになぜ 辞めさせられたのか?」という問いへの答えである。

田中氏は今回に限っては、いいことをしたのだろう。いいことをしたから、 更迭が可能になったのである。...田中氏の...失言、失策、不始末を理由に 更迭しようとすれば、いくらでもその機会はあったのだ。だが、小泉首相にとって、 そうした手は避けなくてはならない。田中氏に外相失格の決定的な烙印を 押してしまうことになり、首相には起用した責任論が出てくるからだ。 ...(小泉首相は)だれもが待ち望んでいたことを、絶妙のタイミングで、 それも「三方一両損」という大岡裁き以来の日本的決着法でカタをつけたのであった

(NN) は、小泉首相が、敵味方をきちんと区別して解散総選挙をすべきだという主張。

(IN) は、特殊法人をつぶしたいのだが、官僚のせいでできないという文句を 述べている。役人が憎いあまり、フォーラムの帰りに、役人がタクシーまで見送って くれなかったことにまで文句をつけているのが御愛嬌(?)。 確かに一般論として、役所は現状維持を図るから強い抵抗をするのだが、結局は 小泉首相の指導力では?

(FM) は、日本経済は破綻するか、回避しようとしても大きな副作用があるというお話。 素人である私は、とりあえず、どこにお金を預けるべきかが目下の悩み。

(KNFH) は、以前に福田が作った総理の採点表をめぐる議論。ちなみに 小泉首相はこの表だと 29 点で 52 位。