以下、面白いと思う部分をいくつか引用
エッセイ「自然と色彩」より
日本の海を、群青と緑青の色だと私は思ったのだが、それは群青に緑青を まぜることによって得られる微妙な色感を意味する。以前に描いた 新宮殿の壁画「朝明けの潮」は、この群青と緑青の相当粗い分子の 岩絵の具を混合した濃彩の画面であった。
講演「山雲濤声」(障壁画を描いた唐招提寺での講演)より
天生峠へと向かう。(中略)それは、御影堂の上段の間の構想として、 私が過去に旅した山々での体験から、胸裡に描いていた風景を遥かに超える 素晴らしい眺めであった。峠の到る処で殆んど忘我の状態で見つめていた私は、 この風景を何者かに命じられているのを感じた。