ブルバキは 1934 年に作られたフランスの若い数学者のグループで、 もともとは解析学の教科書を現代化するプロジェクトだった。 その計画が膨らんで、「数学原論」が書かれた。また、数学セミナーとして 「セミネール・ブルバキ」が現在に至るまで続けられている。
今から見ると、いわゆる古き良き時代だったのだなあと思う。 「ブルバキ」という架空の名前でメンバーを秘密にして本を書くことなど、 今の論文重視の業績主義の下ではほとんど考えられない。 そんなことに力を入れていると、いわゆる「業績」が挙げられなく なってしまう。しかし、教科書を作るということで徹底的に議論することは、 おそらく非常に楽しい経験だったであろうし、ブルバキメンバーの 研究にも結局は役に立ったのではないかと想像できる。 名前を隠すのも、メンバーのやる気さえあれば、第一著者を 誰にするなどの不毛な争いを避けるのに良かったのであろう。