北朝鮮利権の真相

野村旗守編
別冊宝島 Real 049
刊行:2003/06/27
名古屋丸の内の Lawson で購入
読了日:2003/07/18
コンビニで何となく買ってしまった本。

北朝鮮が拉致を認めて以来、マスコミの論調が決定的に変わってしまい、 今ではよってたかって北朝鮮とそれに関わった人を攻撃しているわけで、 この本はその流れの1つである。今や北朝鮮の擁護をするのは著しく困難で、 ほとんどありとあらゆることが批判の対象になっている。 そういうなかでの特集というわけである。以下の論説の質が どの程度のものなのかは私には判断できない。

著者タイトル内容
序章金王朝の忠犬たち
稲垣武日本のマスコミはなぜ北朝鮮に弱いのか? マスコミは北朝鮮の恫喝や謀略にひどく弱い。
第1章ゆがんだ日朝友好関係
小林一博金日成の「人蕩し術」に堕ちた「アバウト」金丸信 金丸訪朝団について。日朝国交正常化交渉への道を開いた。 しかし、「戦後45年間の償い」の一節を入れたことが最大の汚点。 これは、金日成が金丸を取り込み「さし」で会談をしたときに 入れられた。しかし、金丸はその後失脚し、北朝鮮は日本のカネを 手にしたわけではない。
青木英一ミイラ取りがミイラになった!?歴代「恥知らず」 訪朝団行状録 金丸訪朝団以降の3つの訪朝団について (1) 渡辺訪朝団(1995): コメ支援。加藤紘一が外交折衝を行った。 (2) 森訪朝団(1997): 森自民党総務会長と寺越武志氏との面会。拉致問題が浮上。 のちに、拉致被害者の第三国発見方式が提案されていたことが 明らかになった。また、コメ支援の密約もなされていた。 (3) 村山訪朝団(1999):国交正常化交渉再開に合意。
三浦小太郎歴代「密使&特使」列伝 対北朝鮮外交の裏で活躍した11名について。
伊藤博一閑古鳥鳴く「豆満江経済特区」 北朝鮮の経済特区プロジェクトの失敗。
野村旗守「砂利」ほどボロい商売はない コンクリートには良い川砂利が必要だが、日本にはもうない。 北朝鮮にはある。多くは中国から輸入されているが、北朝鮮から 回ってきているのではないか?
野村旗守「朝銀破綻」に暗躍した永田町利権屋群像 朝銀の破綻に対し、公的資金がつぎ込まれた。にもかかわらず、 不正が暴かれない。金融庁は不正隠しに加担しているのではないのか?
野村旗守浮かんでは消える「巨大海底油田」の夢 北朝鮮の海底油田開発という話があるが、だれも手を出さない。
野村旗守北朝鮮ジャンクポンドを買い漁った 金融マフィアの狙い 北朝鮮の債券は紙屑のようなものだが、場合によっては得をする可能性が あるので、買っている欧米の金融ブローカーがいる。 [なお、題名の「ポンド」は「ボンド」の誤りであろう。 この程度の間違いがあるようでは内容が心配だが。]
田村建雄戦後補償利権「五百億円」キックバックを狙う 「悪代官」たちの野望 日朝交渉には真面目に取り組んでいる政治家もいるが、 利権を狙っている政治家もいる。たとえば、金丸信邸でみつかった金塊は 北朝鮮のものかもしれないという話がある。
第2章平壤コネクション
溝口敦北朝鮮がつくり「ヤクザ」が売る覚醒剤、 その密売ルートの全貌 北朝鮮は国家ぐるみで覚醒剤を製造・密売している。
伊藤博一謎の女フィクサー「マダム・パク」の正体 実業家朴敬允。統一協会の文鮮明の訪朝を実現させた。 加藤紘一によるコメ支援とも関係している。
菊池圭介北朝鮮に吸い寄せられた意外な人々 北朝鮮と関わりの深い人5名に関して (1) 川勝伝:南海電鉄会長。 川勝が戦争への責任の気持ちを抱いていたことに、北朝鮮が付け込んだと 著者は見ている。 (2) ジャンカルロ・エリア・バリ:実業家。 (3) 引田天功:金正日に気に入られた。 (4) アントニオ猪木: 北朝鮮に利用されていると、著者は見ている。 (5) 比嘉照夫: EM農法の提唱者。北朝鮮で導入されたらしい。
日名子暁二十兆円「民族産業」に群がった魑魅魍魎 パチンコ業界は長い間朝鮮総聯の資金源であった。 しかし、プリペイドカードの導入などを経て朝鮮総聯の力は 衰えてきた。
第3章封印された戦後史
荒木和博「北朝鮮の走狗」日本社会党の恥辱まみれ党史 社会党は拉致問題の解決に消極的であったばかりでなく 妨害もしてきた。たとえば、寺越事件では、拉致を認めなかったばかりか 寺越氏の戸籍回復を妨害した。
黒坂真日本共産党はなぜ「史実」を隠すのか 現在の日本共産党は北朝鮮に批判的だが、かつては 北朝鮮を礼賛していた。
佐藤勝巳暴力と「逆差別」から生まれた在日利権 朝鮮人商工会は 1976 年以来、税金が不当に優遇されている。 脱税した分は北朝鮮に渡ったり、日本の政治家への賄賂になったりしている。 戦後5年くらいの間、朝連・民青(北側)と建青・民団(南側) の間に激しい武力抗争があった。また、戦後の闇市は朝連が仕切っていた。 [本稿は北朝鮮系のみならず在日韓国人に対しても批判的である。]
終章最後の審判
久保田るり子世界のジョーカー=外交カードとしての北朝鮮 北朝鮮をめぐって米中露韓が虚々実々の駆け引きを 繰り広げているという話