地球物理屋にとっては、逆問題はしょっちゅう必要になる。しかし、 実質的には、最小自乗法にテキトウな正則化を加えたものを、 あまり数学的正当化など詳しく考えずに、まともそうな答えが求められれば OKということで、いい加減に使っている。でも、本当を言うと どのくらい正当なのかいつも心配ではある。
本書の5、6章では、地球物理屋がいつもいい加減にしている数学的な 正当化のサワリの部分を扱っている。サワリだけなので、実質的に 役に立つまでの情報はないけれど、「一意性」とか「条件付き安定性」 という概念が問題になるのだとわかって勉強になる。逆問題は 本質的にあまり安定な問題ではなく、いろいろ微妙に難しい点があるの だということがわかる。