真理への旅人たち―物理学の20世紀
米沢富美子著
NHK 人間講座 2003 年 4 月〜 5 月期、日本放送出版協会
刊行:2003/04/01
名大生協で購入
読了日:2003/06/21
20世紀の大物理学者8名の生涯を見て行きながら、20世紀の物理学の
入門編にしようという感じの NHK 人間講座。この手の趣向はどういう人物を選ぶかが
ひとつのポイントになる。メジャーな人ばかりだと、ありきたりになるし、
かといってあまり知られていない人だと、伝記がないし史料も少ないだろうから、
科学史の専門家ではない著者では手に余るだろう。そういうことを考えると、
良く考えられた人選かと思う。アインシュタインは当然のように入るとして
あとは誰を入れるかは考えどころ。量子力学の成立には複数の人が関わっているが、
ここではボーアが選ばれている。著者は湯川、朝永に会ったことがあるそうなので、
これら二人が入っているのも当然。それ以外はいろいろ選択の仕方は
あると思うが、宇宙論のハッブル、原爆のオッペンハイマー、
物性論のバーディーン、素粒子と複雑系のゲルマンと、分野が適当に
ばらけるように選ばれている。
全体的には平易にまとめられている。物理学や科学史の専門家からすると
もの足りないところはあったかもしれないが、一般向けとしては十分。