特集 囚われのアフガン
DAYS JAPAN 創刊3号(2004 年 6 月)デイズジャパン
名大生協で購入
読了日:2004/07/12
イラク問題は話題になっても、そういえば、アフガンのことを忘れていた。
それを思い出させてくれる特集。DAYS JAPAN は最近創刊された写真報道誌で、
質の高い誌面作りをしている。
- 「忘却の陰で」、文:池田香代子「アフガンに立ち戻れ」(IR)
- 写真:Thomas Grabka、文:Marcus Bensmann「アフガン少女囚」(GB)
- 写真:Paolo Woods、文:Serge Michel「軍閥の国で」(WM)
- 写真:広河隆一、文:中村哲「「国際正義」の下で」(HN)
(IR) は、アフガニスタンに立ち戻ろうという記事。(GB) は、殺人の疑いを
かけられた少女の話。(WM) は、軍閥やら麻薬取引やらの話。
(HN) は、NGO のペシャワール会医療サービスが、水が大事だということで
水源事業をしているという話。人道支援の多くが、実は「復興ビジネス」で
現地の人から恨まれるという指摘をしている。軍とセットで支援をしてはならない。
(HN) が文章の内容としては一番興味深い。むろん、どれも写真の質は高い。
後日 (2004/07/17)、中村哲氏のアフガンでの 20 年にわたる活動の
ドキュメンタリー番組(ETV 特集)を見た。氏が医師であるにも関わらず、
どうして灌漑活動に関わるようになったかがよくわかった。それは
以下の事情による。近年子供たちが病気で死んでゆくのが増えて、
どうしてかと思ったら、地球温暖化で山岳氷河が減っているために
河川の流量が減って、干魃が広がっているためであることがわかった。
きれいな水さえあれば罹らなくて済む病気が増えたのだ。そこで、
灌漑をして干からびた土地に水を引くことが医療以前に必要だと
わかったということだった。地球温暖化でまず困るのは貧しい国々だ
ということを私は改めて認識した。
海外援助に関わる重要なことがその番組で語られていたので、メモしておく。
- 武装した援助など無用である。武器を持たないのは勇気がいるけれども、
結局は安全なのである。
- アフガニスタンの人が持っている石積みの技術を使うことにした。
コンクリートを多用するのは、結局現地の人で維持できなくなって、
援助漬けになるので良くない。現地の人が自力で維持管理できる
システムにすべきである。
- 内戦時代に、戦車の爆破をしていた人に石の発破をしてもらった。
これは、戦闘員が心を入れ替えて、平和目的に自分の技術を使うようになった、
というきれいごとでもない。本人に言わせると、戦車の爆破も
灌漑のための発破も同様に面白いのだそうだ。
- 灌漑のための発破が攻撃と間違えられて、アメリカ軍のヘリコプターから
銃撃されて危険な目に遭った。
よく政治家が語る人道援助なるものが欺瞞に満ちていることは、
このような言葉からもよくわかる。