日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日
The Day Japan Came Crashing Down

Benjamin Fulford 著
翻訳協力:広澤重穂、山田順、川端光明
光文社ペーパーバックス 005、光文社
刊行:2002/12/10
名古屋星ヶ丘の榮進堂書店 E:S 店で購入
読了日:2004/05/06

Forbes の東京支局長である著者が、日本の不況の原因はヤクザ経済に あると喝破した本。このままでは日本はアルゼンチンのように崩壊すると 予測する。それが題名の由来でもある。タンゴの持つ憂愁の響きも題名の 由来であろう。

著者によると、日本は以下のような状況にあり、大改革をしない限り 凋落を免れない。

私も、このうちの少なくとも半分以上は本当だろうと思う。ただ、 上にあるようにメディアがいつもものごとの本質をあまり伝えてくれて いないために、全部本当かどうかは私にはわからない。しかし、 小泉政権への高支持率が続くようでは、日本全体が沈むような気が 今までより強くするようになった。

ゆとり教育や学力低下も将来の日本の先行を危ぶむ理由のひとつになっている。 大学教員としては、とりあえずは自分の大学の学生の学力レベルを上げるべく 努力しているつもりではあるが、なかなかうまく行かないのも事実である。

ことば使いが面白いと思った点をひとつ。ある部分では、日本は 極右国家であると言い、別の部分では、日本は最後の社会主義国家であると 言っている。極右であるという意味は、外国人を全く受け入れないという ことであり、社会主義であるという意味は、「政・官・業・ヤクザ」 システムのおかげで、銀行の預金や郵便貯金が無駄に使われているということだ。

このペーパーバックで面白いのは、英単語を alphabet のまま本文に 入れていることだ。ただし、さすがに訳なしにはしておらず、 「日本人の新入社員 newcomer はハシにもボーにもかからない」 というような調子で、和訳を先に付けてある。なので、それなら 何のために英単語を入れてあるのか?という気がしないではない。 誤訳を発見してくれということだろうか?それにしては、ほとんどが 単語だけなので、誤訳を発見しようもない。文で出ているところもたまにあって、 そうすると英語と和訳の違いが分かる。気付いたのは次の箇所。 これは意訳にしてもちょっと違いすぎる気がする。これは新聞記事のタイトルである。

英語:Jusen probe to hit broad swathe of society from upper crust to underworld, investigators to reckon with political elite, gangland pressure
和訳:住専の捜査は、政治家やヤクザの抵抗にあって闇社会のカサブタに 包帯を巻こうとしている
吉田私訳:住専の捜査は、表層から闇までの社会の広い範囲に及ぶことに なるだろう。捜査員は政治エリートやヤクザの圧力と闘わねばならない。