日本人のルーツを探れ―人類の設計図
NHK「人体」プロジェクト著
NHK スペシャル 驚異の小宇宙・人体III 遺伝子・DNA 3、NHK 出版
刊行:1999/07/15
名古屋栄の丸善で購入(バーゲン本)
読了:2004/09/05
少し前の NHK スペシャルの本がバーゲンで売っていたので買った。
日本人の起源が分子遺伝学的な方法で解明されつつあるという話。
とくに、縄文人―アイヌ人―九州南西部から沖縄の人―アンデスの人、
という関連が注目される。が、それらの関係はそう単純なものでもなく、
結局のところ、日本人の起源にはいろいろなものが混ざっていて
あまり単純ではないらしい、ということがわかる。
この本の中では、宝来聰著「DNA 人類進化学」
(ミトコンドリア DNA 分析を解説した本らしい)
が引用されることが多く、番組の軸はミトコンドリア DNA である。
しかし、ミトコンドリア DNA の分析に関しては、複数の解析方法が
書かれていて、それらの関係や特質があまり明確でない。
以下、日本人の起源に関する部分のまとめ
- 血液型、赤血球酵素、血清蛋白などの遺伝子に基づくと
韓国人------本土日本人---琉球人-------アイヌ人
といったくらいの関係にある。
- ミトコンドリア DNA の分析からは、日本人は2つのタイプに分かれる。
- グループ1:少数派。青森、静岡、沖縄では、青森で多く、沖縄で少ない。
- グループ2:多数派。縄文人やアイヌ人はこちら。すなわち、
グループ1と2は縄文と弥生には対応しない。
- ミトコンドリア DNA の分析から、
縄文人と近世アイヌと東南アジアの一部が近縁であることがわかる。
- 頭骨の形態小変異からは、
- アイヌと縄文人はひとつのグループ
- 現代日本人は、弥生人や東アジアのモンゴロイド諸集団と近縁
- HTLV-I (ヒトT細胞白血病ウイルスI型) は、日本では九州とアイヌに集中して
見られる。一方で、アンデス先住民族も HTLV-I を保有している。
ただし、他の南米先住民族は HTLV-II を保有している。
- HLA (ヒト白血球抗原) ハプロタイプを見ると、南九州には
本土日本人に多いタイプと異なるタイプを持つ集団がある。
- ミトコンドリア DNA の分析。本州の日本人、アイヌ、沖縄の人、中国人、
韓国人の5集団で比較。本州の日本人と韓国人は比較的近い。
アイヌと沖縄の人は意外と遠い。本州の日本人には、固有のタイプは少なく、
他の4集団に多いタイプが混合している。