ぼくはこんな本を読んできた 立花式読書論、読書術、書斎論
立花隆著
文藝春秋
刊行:1995/12/20
土岐の古本屋 BOOK OFF 19 号土岐店で購入
読了:2004/06/13
立花隆がいろいろなところに書いている本に関するものもろの文を集めてきたもの。
立花隆がたいへんな読書家で、それが現在の評論活動の豊かな源泉であることが
わかる。気楽に読める。
部分的サマリー
以下、サマリー。といっても、一部分である。全部サマリーを取るような
文章でもないし、本書の中の14か条のひとつにもあるように
本を読みながらノートを取るな。
どうしてもノートを取りたいときは、本を読み終わってから、ノートを取るために
もう一度読み直した方が、はるかに時間の経済になる
ということでもあるので。しかし、この教えはいつでも守ってはいられない。
とくに数理物理系の教科書のようなものは、ノートを取りながら読んでいかないと、
理解が進まないこともあるからだ。
知的好奇心のすすめ
人間には知的欲求があり、それが現代の文明を築いてきた。知的欲求には、
実用的なものと純粋なものがある。それに関して興味深いのが、宇宙開発だ。
宇宙開発の必要性を説得するのに、しばしば実用的な側面が強調される。しかし、
良く考えてみると、そんなものはペイするわけがない。むしろ、宇宙進出は
人類の宿命だというべきだ。ヒトは住み良いジャングルを出て、わざわざ劣悪な
サバンナに進出したサルだ。それは未知の世界への純粋な欲求に突き動かされたものに
違いない。このような欲求の原始的なものはアメーバにさえある。アメーバはとりあえず、
新しい環境では触手をあっちこっちに伸ばすのだ。人間が特別なのは、
(1) 社会全体で知識を膨大なものにし、文明を造ってきたことと
(2) 内的な問い、すなわち「私はだれ?ここはどこ?いまはいつ?」という問いに
深く答えようとしてきたことだ。
<人類の知の総体>への挑戦
- 読書には、それ自体が目的となるもの(文学、教養など)と、手段であるもの
(ビジネス書、自然科学書など)とがある。私(立花)は文学青年だったが、
ナマの現実の方が文学より面白いことに気付いて以来、前者の読書をほとんどしなくなった。
- 出版は、本来一過性のものであり、継承される書物というものはほとんどない。
- 知識は常に更新されるのであるから、過去の知の総体は、古典ではなく最新レポートにこそある。
- 常に現在の知の総体に広く関心を持つべきだ。
体験的独学の方法
立花式独学の方法
本は一度にたくさん買う。まずは神田の書店街で探す。
片端から本を見て行って、教科書的入門書をまず3冊くらい買う。
その際は、立場の違ったものを選ぶのが良い。次は、一般向けの軽い解説書、
肩の凝らない読み物、隣接分野の解説書などを複数買う。さらに、学問の歴史や
思想史も買うと、学問の枠組みがよくわかる。それから、各論も1冊買って
学問の深みも知ろう。最後に、辞典や年鑑の類も1冊あるとよい。
買った本は、本棚に入れず、机の上に積み重ねる。あとはひたすら読む。
余談:語学は、集中的に家庭教師を付けて一対一で勉強するのが良い。
推薦本のごく一部
推薦されていた本の中から機会があったら読もうかと思ったものの pick up
- アリストテレス:トピカ、詭弁論駁論
- 論証の仕方の勉強に良い
- 大和岩雄「日本にあった朝鮮王国」(白水社)
- 豊前に渡来民族による秦王国があった
- 「アジアの新聞は何をどう伝えているか」(ダイヤモンド社)
- アジアの報道の紹介:とくにアジア各国における日本報道
- 春名幹夫「スクリュー音が消えた」(新潮社)
- 東芝のココム違反事件の裏面にアメリカの情報機関がいた
- 新藤健一「写真のワナ」(情報センター出版局)
- 報道写真のウソや誤りの分析
- 莫邦富「蛇頭(スネークヘッド)」(草思社)
- 密航斡旋ブローカーである蛇頭たちのルポ
- 西田利貞「チンパンジーおもしろ観察記」(紀伊国屋書店)
- チンパンジーの行動観察
- ラムゼー・クラーク「湾岸戦争」(地湧社)
- 湾岸戦争では、イラクはアメリカに嵌められ、アメリカ軍は虐殺を行った
- 「図説 金枝篇」(東京書籍)
- フレイザーの「金枝篇」の簡略版のさらに簡約バージョン
- 金在洪「極秘 韓国軍」(光人社)
- 韓国の軍部の内部史