CDつきマガジン 隔週刊 日本のうた こころのうた (第16巻まで)

デアゴスティーニ・ジャパン
刊行:2004/02/03(No.1)-08/31(No.16) (実際は 2004/01/06-08/03)
名大生協、東山書店(名古屋市東山)などで購入
読了:2004/08/16
いわゆる懐かしい歌全集。最近の歌に疲れたときは、こういう単純で清涼な抒情性が 気持ち良い。この CD マガジンでは、楽譜・歌詞と歌にまつわる話が書かれている。 最初の16巻を買ったが、最近あんまり CD をゆっくり聴く暇もなくなったので、 それ以上買うのはやめることにした。刊行はまだまだ続きそうである。

以下、各巻の中で印象に残る歌詞やことばを引用していこう。

故郷
山田洋次のインタビューより「満州大陸育ちでして、日本の唱歌的雰囲気は かけらもないところで育ちました。(中略)「我は海の子、白波の…」なんて 歌を歌いながら憧れを抱くんですよ。」
私も高度成長期の北海道育ちだから、唱歌の故郷はある種の理想だなあ、と思いつつ。
赤とんぼ
あの町この町「お家がだんだん遠くなる遠くなる  今きたこの道かえりゃんせかえりゃんせ」
浜辺の歌
「波浮の港」の解説より「「ヤレホンニサ」という部分は雨情ではなく、作曲の中山晋平の考案です。 晋平はこのような囃子ことばが得意で「証城寺の狸囃子」の歌い出しも彼のアイデアです。」
荒城の月
荒城の月のモデルは、作詞者土井晩翠にとっては、会津若松の鶴ヶ城、あるいは仙台の青葉城、 作曲者瀧廉太郎にとっては、竹田の岡城、あるいは富山の富山城。
仰げば尊し
「別れ」の解説より「日本で親しまれているドイツ民謡には「故郷を離るる歌」など、 別れの歌がいくつかありますが、いずれも決して暗いメロディーではなく、明るく リズミカルなのが特徴です。私たち日本人にとってみると、別れの歌にしては少々明るすぎる 感じがしてしまいます。」
雪の降る町を
「トロイカ」の解説より「実はこの曲、本当は「郵便トロイカは走る」という歌なのですが、 訳詞をする際に「トロイカは走り、トロイカは翔ぶ」という全く別の歌の詩を取り違えてつけてしまい、 それが定着してしまったのだそうです。」
なお元のロシア語の歌詞は、郵便配達人が実らぬ恋を歌ったものである。
みかんの花咲く丘
鯉のぼり「百瀬の滝を登りなば  忽ち竜になりぬべき   わが身に似よや男子(おののこ)と  空に踊るや鯉のぼり」
かあさんの歌
「かあさんの歌」の解説より「また窪田は高校時代に一、二度、信州新町に叔母を訪ねています。 「就職したらラジオをプレゼントするね」とその叔母に言ったら、現金収入の少ない山村では 聴取料さえ負担になると断られたそうです。」なお、窪田はこの歌の作詞作曲者である。
カチューシャ
「カチューシャ」の解説より「なんと、ロケット砲そのものを「カチューシャ」という愛称で 呼んでいたそうです。原詩を直訳すると、切り立った断崖絶壁にカチューシャが立っているという 意味になります。これはもはや美しい女性のことだけを歌ったものではありません。原詩は四番まで ありますが、直訳するとロケット砲の歌だということがあからさまになってしまうためでしょうか、 三番までの歌詞しか掲載されていない資料もありますし、四番は一番を繰り返す形になっているものもあります。」
この解説は疑わしい。というのも原詩の四番を訳すると
彼が純真な乙女のことを思い出すように
彼が彼女が歌うのを聞くように
彼が祖国の地を守っているように
カチューシャはその愛を守ることだろう
となって、別にロケット砲を思わせるものではないからだ(訳は NHK TV ロシア語会話 2004 年 2・3月テキストによる)。
あざみの歌
「茶摘」の解説より「日本ではじめて煎茶が生まれたことから「日本緑茶発祥の地」と言われる 京都府綴喜郡宇治田原村に伝わる古い茶摘歌をもとにして作られたものです。元歌では 「摘まにゃ田原の茶にならぬ」と歌われていました。」
私はもともと何となく「摘まにゃ日本の茶にならぬ」というのに違和感を覚えていた。 世界に対する日本を意識して茶摘をするなどというのは考えにくいからだ。意識するなら日本の他の産地だろう。 この解説で、これは文部省が改竄したからそうなったのだと納得した。
夏の思い出
「思い出のグリーングラス」の解説より「しっとりしながらも明るさを感じる歌ですが、 実は刑執行の前夜に囚人が見た歌を歌った悲しい歌です。」
これは好きな歌なのだが、そういう歌だとは知らなかった。
城ヶ島の雨
城ヶ島の雨「エエ  船は櫓でやる  櫓は唄でやる  唄は船頭さんの心意気」
ゴンドラの唄
平城山「人恋うは  悲しきものと  平城山に  もとおり来つつ  堪えがたかりき」
その解説より「天皇の浮気が原因で家を出てしまった磐之媛のことを、 北見自身の人生に重ねて歌ったものと言われています。」
大きな古時計
あわて床屋「春は早うから川辺の葦に  蟹が店出し床屋でござる  チョッキンチョッキンチョッキンナ」
琵琶湖周航の歌
「ちんから峠」の解説より「原題は「ちりから峠」となっていたそうで、 「ちんからほい」の部分は、もとは「ちりからしゃん」。つまり、これは鈴の音を 表現したものだということです。」
夕焼小焼
夕方のおかあさん「……ごはんだよォ  やっぱりおなじだおなじだな」