金将軍
芥川龍之介著
青空文庫 (online)
金将軍
公開:1999/01/08
青空文庫の元になった文庫本:1987/02/24 ちくま文庫「芥川龍之介全集5」
その元となった単行本:1971/03-11 筑摩書房「筑摩全集類聚版芥川龍之介全集」
原作刊行:1924/01
読了日:2005/09/10
online で読める芥川の短編。NHK ラジオ第2のカルチャーアワー
「文学探訪 芥川龍之介」(講師 文教大学教授 関口安義)で紹介されていた。
internet で探したら青空文庫にあったので早速読んでみた。
これは朝鮮で伝えられる文禄・慶長の役(朝鮮では壬辰倭乱・丁酉再乱と呼ぶ)の
伝説「壬辰録」に取材して書かれた小説だそうだ。
芥川は、ブルジョア作家と言われることが多いが、実はここで見られるように
歴史認識の問題についても深い関心があったようだ。
それで、この作品は韓国では高く評価されているそうである。
この朝鮮の伝承では、小西行長が金将軍に討たれ、行長の子を宿した
妓生桂月香(けいげっこう)も腹の子もろとも金将軍に殺される。
もちろん行長は朝鮮で死んだのではない。本当に言いたいことはその後である。
しかし歴史を粉飾するのは必ずしも朝鮮ばかりではない。日本もまた小児に
教える歴史は、―あるいはまた小児と大差のない日本男児に教える歴史は
こう云う伝説に充ち満ちている。たとえば日本の歴史教科書は一度も
こう云う敗戦の記事を掲げたことはないではないか?
として以下、日本書紀の白村江の戦いの部分が引用される。