雲をつかむ死

Agatha Christie 著、加島祥造訳
原題:Death in the Clouds
ハヤカワ文庫、クリスティー文庫 10、早川書房
刊行:2004/04/15
原著刊行:1935
名大生協で購入
読了日:2005/04/21
ポアロが乗っていたフランスからイギリスに向かう飛行機の中で、 ある婦人が誰にも気付かれずに殺されたというところから始まる物語。 ある種の密室殺人である。巧みなストーリー展開の佳作。 筋も複雑すぎず簡単すぎず、さすがに絶頂期の作品だと思う。 途中で犯人がこの人じゃないかと薄々わかるところもあるが、 種明かしのかなりの部分が最後にあることもあって、ポアロが明かすまで その人物が本当に犯人かどうかというところまではわからない。

トリックの要のスチュワードの制服と歯医者の白衣が似ているというのは、 今のスチュワードの制服からするとちょっと無理がある感じがするが、 当時はけっこう似ていたのだろうか?この物語で肝心なのはトリックの ディテイルよりは話全体の構成だと思うから、そう気にはならないけれど。