内と外から見た日本人 失われたアイデンティティ Lost Identity 隠された歴史を求めて

Ken Joseph Jr. 著
光文社ペーパーバックス 061、光文社
刊行:2005/06/30
名古屋金山の MARI 書房(アスナル金山)で購入
読了日:2005/08/30

大きく言えば2つの内容が書かれている。ひとつは、災害や難民などの支援をする ボランティア活動の経験の話。もうひとつは、日本はもともと多民族国家であり、 かなり古くから東方キリスト教の影響を受けているという主張である。著者が もともとアッシリア系の人なので、そこに日本との深いつながりを感じているという 話である。

第一のボランティア活動の方は、実際の修羅場を経験しているだけあって、 感動的な部分や考えさせられる部分が随所にある。湾岸戦争の時には、 「日本はすばらしい国だ。戦争ができない決まりがあるから。」と言われた という話。イラク戦争の前には、イラクのアッシリア人から「今のような 平和よりは戦争の方がましだ。」と言われたという話。日本での災害救援活動では、 至るところで役所の規制や拘束のおかげで苦労するという話。要するに 役所は、本当に必要なことを見ないで、上ばかり見ているということだ。 などなど、良い話がいっぱい詰まっている。

第二の歴史の話は、日本人の起源の話で、著者のルーツであるアッシリアや 東方キリスト教とをいたるところで結び付けているので、面白いけど、 やり過ぎかな、と思えるところも多い。私は歴史は詳しくないので、どこまで 信じて良いのかよくわからない。

というような感じで、著者の出自であるアッシリア人は秦氏を通して日本と 結び付けられ、著者の宗教であるキリスト教はシルクロードを通るいくつもの 経路で日本仏教(あるいは神道)と結び付けられる。日本における景教の 影響を言っているのは、著者が初めてではなく、Elizabeth Anna Gordon、 佐伯好郎、池田栄などの研究がすでにあるということで、程度の問題はわからないが、 真実の部分があるのだろう。たしかに日本の仏教は、原始仏教と比べると 著しく変容しているので、その経過はたいへん興味深いところである。