相対論の正しい間違え方

松田卓也・木下篤哉著、パリティ編集委員会編(大槻義彦責任編集)
パリティブックス、丸善
刊行:2001/06/10
(たぶん)名大生協で購入
読了日:2005/09/16

夏休みの積み上げ本読破計画のひとつ。だいぶん前に買ったような気がする。 相対論をまたちょっと勉強しようという気になって読んだ。 私は、とくに一般相対論はちゃんと勉強していないので、細かい所や 式の導出ではよくわからないところもあるのだが、けっこう勉強になる本だ。 普通の教科書にはあまり詳しく書いてないけれど、相対論の理解において 間違えやすい点が、ここには詳しく説明されている。

たとえば、ローレンツ収縮には力が必要であるというのがそうである(第7章)。 もうちょっと正確に言えば、止っている長いもの(たとえば電車)が 急に動き出すと、同時性が急に変わるので電車を構成する原子の間には 力が働いてしまうのである。

有名な双子のパラドックスも第11章で5通りものやり方で丁寧に説明されている。 このくらいしつこく説明されるとようやく分かった気になってくる。 従来からこのうちの1つくらいは知っていたが、どうもそれだけでは 不満足感が残っていた。5通りくらいのいろいろな角度から説明されると ようやっと腑に落ちてくる感じがする。

質量とエネルギーの等価性も、スケールに相対的で、見るスケールによって 質量の勘定の仕方が変わるというのも、私が従来勉強が不十分だった所だった (第9章)。

そんなようなわけで、相対論に慣れている人には当たり前かも知れないけど、 私くらい不慣れな人間にはけっこう勉強になる本だ。