NHK スペシャル 海 知られざる世界 2 めぐる生命の輪 / 深層海流 二千年の大航海

NHK「海」プロジェクト著
岩崎弘倫・関英祐著(取材記)
小林安雅・中澤親司・松本英二・室田武著(論考・巻末企画)
日本放送協会出版(NHK出版)
刊行:1998/03/30
H 先生から借りた
読了日:2005/09/17

ずいぶん前に H 先生から借りていて放ってあったのを取り出して読んだ。 中身はけっこう知っていることも多い内容なので、半日で読破した。 放送は見たかどうか忘れたが、見なかったような気がする。 この本は放送の第3集、第4集の2回分。ある程度の玄人が読むものとしては、 参考文献がなくて元情報がたどれないのが難点。人名も全部カタカナになって いるので文献検索も難しい。

第3集「めぐる生命の輪」では、海全体の食物連鎖や物質の輪廻が解説されている。

第1章「輪廻転生の旅へ」
植物プランクトンが海の生態系を支えている。
第2章「科学の光に照らされる深海世界」
深海生物の研究の歴史、モントレー湾水族館研究所の ROV ベンタナ号が 撮影した深海生物の映像、糞粒とマリンスノーが深海に運ぶ有機物
第3章「いのちはめぐる」
湧昇による深海から浅海への栄養の運搬、鳥や魚による海から陸への 栄養の運搬
第4章「地球環境を左右する元素」
リンと地球環境、とくにリンが酸素濃度を調節している可能性:
酸素が増えると、鉄が酸化されそれにリンがくっついて生物が使えなくなる。 すると、生物生産が減って有機物の埋没量が減り酸素が減る。

第4集「深層海流 二千年の大航海」では、深層循環とその気候変動(とくに Younger Dryas)との関わり

第1章「メキシコ湾流の恵み」
メキシコ湾流によってノルウェー付近は暖かく豊かな漁場となっている
第2章「世界の海をめぐる深層海流」
深層循環のベルトコンベアモデル。グリーンランド沖の沈み込みによって メキシコ湾流はぐっと北まで引き寄せられている。
第3章「人類を襲った急激な気候変動の謎」
Dansgaard-Oeschger cycles や Younger Dryas の急激な気候変動の紹介。 Younger Dryas は、五大湖付近で起った大洪水で北大西洋が淡水化し ベルトコンベアが停止することで起ったというブロッカー博士の説の紹介。
第4章「奇跡の安定が崩れるとき」
地球温暖化の帰結として、北大西洋の塩分濃度が下がりベルトコンベアが 停止する可能性がある。