以下は、それぞれの記事のまとめ。現在 (2005 年)、昨年読んだことは もうだいぶん忘れているものの、 以下のそれぞれの記録は読んだ直後の記憶がフレッシュなときに書いたものである。
著者 | 渡部潤一 |
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題名 | 7年ぶりの着陸機が挑む 失われた水の謎 |
初出 | 書き下ろし |
内容 | 最新の火星探査機 Spirit と Opportunity の観測予定概要と最新情報 |
著者 | Arden L. Albee (翻訳協力:勅使河原まゆみ) |
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題名 | 風と水が作った幻想的な地形 |
和訳初出題名 | 探査機がつかんだ火星の姿 |
原題 | The Unearthly Landscapes of Mars |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN June 2003, 日経サイエンス 2003 年 8 月号 |
内容 | 火星の表層環境の特徴
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著者 | G. ゾーベット (訳:矢野創) |
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題名 | 人類が降り立つ日 生命探しの本命 有人探査のシナリオ |
和訳初出題名 | 生命探しのカギ握る有人計画 |
原題 | Why Go to Mars? |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN March 2000, 日経サイエンス 2000 年 6 月号 |
内容 | 火星有人探査の意義:
生命探査のためには、有人探査が必要という意見とそうでない意見の紹介 有人探査は、ロボットよりもはるかに機動力がある。 また地下深くの試料を掘り出すのにも人間が必要。 |
著者 | 佐々木進・水谷仁 |
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題名 | もう一度月へ 相次ぐ探査機打ち上げ |
初出 | 書き下ろし |
内容 | 最近の月探査について
すでに終わったもの
これからの計画
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著者 | James L. Burch (訳:柴田一成) |
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題名 | 衛星がとらえた極大期の太陽嵐 |
原題 | The Fury of Space Storms |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN April 2001, 日経サイエンス 2001 年 7 月号 |
内容 | 2000 年 7 月 14 日に太陽から激しいコロナ質量放出があり、大きな地磁気嵐が起きた。
最近ではこのような様子がさまざまな観測によってとらえられている。とくに
太陽の観測においては SOHO (Solar and Heliospheric Observatory) 衛星が、
磁気圏の観測においては NASA の IMAGE (Imager for Magnetopause-to-Aurora Global Exploration) 衛星が
重要な役割を果たした。
大きな磁気嵐が起こるのは IMF (Interplanetary Magnetic Field) が南向きのときである。 そのメカニズムは以下の通り。
太陽のコロナ質量放出が必ず磁気嵐を起こすわけではない。多くは地球に向かっておらず、 地球に向かっていても遅ければ衝撃波ができないのでたいしたことは起こらない。 IMAGE 衛星の搭載機器
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著者 | Bhola N. Dwivedi, Kenneth J. H. Phillips (訳:鹿野良平) |
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題名 | 太陽のパラドックス コロナは表面よりなぜ熱い |
原題 | The Paradox of the Sun's Hot Corona |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN June 2001, 日経サイエンス 2001 年 9 月号 |
内容 | 太陽の光球が 6000 K なのに対し、コロナは 100 万度以上になる。このコロナの加熱機構は
長い間謎だったが、最近解明されつつある。コロナの高温域と磁場強度の強い領域がはっきり
対応していることから、加熱に磁場が関連していることは明らかである。ところが、古典的に考えると、
プラズマの電気抵抗は小さいため散逸が小さく、磁場による加熱は難しいと考えられてきた。
しかし、最近では乱流を考えると大丈夫だと考えられるようになってきた。
具体的な加熱機構としては、(1) 波動によるもの (2) たくさんの小さいフレアによるもの、 の2つが考えられている。このうち、後者のほうが有力である。フレアは磁力線の再結合が 原因で起こり、規模の小さなものはしょっちゅう起こっている。エネルギー的には、 それで十分なことが示されている。波動も部分的には重要かもしれない。たとえば、 コロナホールでは磁力線が開いているために、磁力線が再結合しても、エネルギーが コロナプラズマを宇宙空間を加速されるのに使われてしまう。そういうところでは、 波動も重要なのだろう。しかし、直接的な証拠はあまりない。 |
著者 | Robert M. Nelson (訳:阿部豊、小川佳子、小島勝行) |
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題名 | 水星―忘れられた惑星 |
原題 | Mercury: The Forgotten Planet |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN November 1997, 日経サイエンス 1998 年 2 月号 |
内容 | 水星は冥王星に次いで観測が少ない惑星だ。探査機は Mariner 10 号のみ、地上観測も
太陽に近いため難しい。水星の特徴には以下のようなものがある。
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著者 | Mark A. Bullock, David H. Grinspoon (訳:はしもとじょーじ) |
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題名 | 金星を襲った気候激変 |
原題 | Global Climate Change on Venus |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN March 1999, 日経サイエンス 1999 年 6 月号 |
内容 | マゼラン探査機の観測によって、金星表層の理解が大きく進んだ。金星にはプレートテクトニクスは
見られない。しかし、火山活動は存在する。とくに 8 億年位前に金星全体の地表を更新するような
大規模な火成活動があったと考えられている(「大規模一斉更新説」)。それは、金星には
クレーターが少ないからで、クレーター年代学から言えば、金星表面の年齢は 8 億年位にしかならないからだ。
クレーターが少ないことを説明するには、ランダムで局所的な火山活動が常時起こっているという
「平衡地表再生説」もあるが、それでは同じような地形が広範囲に広がっていることを説明できない。
2つの説の折衷案もある。
金星の地形のいくつかは気候変動と関連しているようである。
著者らは、8 億年前の大規模火成活動が金星の気候に与える影響を調べた。火山活動で亜硫酸ガスが 放出され、これは直接的には硫酸の雲を作り太陽光を遮断するため寒冷化をもたらす。 しかし、亜硫酸ガスは地表の炭酸塩と反応して大気から除かれ、2 億年もすると雲が薄くなる。 2 億年くらいすると、火山活動で放出されていた水蒸気の温室効果のほうが重要になり、 気温が急上昇する。その水蒸気もやがて徐々に光化学反応で失われ、現在のような気温に戻る。 現在の金星で硫酸の雲が見られるということは、比較的最近でも火山活動があったことを意味する。 そうでなければ、炭酸塩との反応で失われているはずだからだ。 |
著者 | Torrence V. Johnson (訳:長谷川均) |
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題名 | 木星探査機ガリレオが見た世界 |
原題 | The Galileo Mission to Jupiter and Its Moon |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN February 2000, 日経サイエンス 2000 年 5 月号 |
内容 | 探査機ガリレオの主な結果の紹介。なお、エウロパについては次の記事参照。
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著者 | Robert T. Pappalardo, James W. Head, Ronald Greeley (訳:山岸保子) |
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題名 | エウロパの隠された海 |
原題 | The Hidden Ocean of Europa |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN October 1999, 日経サイエンス 2000 年 2 月号 |
内容 | エウロパについてわかったこといろいろ。
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著者 | Joseph A. Burns, Douglas P. Hamilton, Mark R. Showalter (訳:渡部潤一) |
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題名 | 惑星の環 その美を生んだ力学 |
原題 | Bejeweled Worlds |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN February 2002, 日経サイエンス 2002 年 5 月号 |
内容 | 惑星の環の力学についてわかってきたこといろいろ。
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著者 | S. Alan Stern (訳:渡部潤一) |
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題名 | 最後の未踏地 冥王星への旅 |
原題 | Journey to the Farthest Planet |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN May 2002, 日経サイエンス 2002 年 8 月号 |
内容 | 冥王星はカイパーベルト天体のひとつだ。それを探査する計画 New Horizons が著者らによって進められている。
2006 年打ち上げ、2015 年冥王星到着の予定である。 冥王星にはいくつか興味深い点がある。
New Horizons に搭載する観測機器は以下の4種類である。
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著者 | Erik Asphaug (訳:磯部三) |
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題名 | 解き明かされる小惑星の世界 |
原題 | The Small Planets |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN May 2000, 日経サイエンス 2000 年 8 月号 |
内容 | 最近小惑星の探査が多く行われるようになってきている。とくに重要な知見は、直径 1km 以上の
小惑星の多くが「瓦礫の集まり」であることだ。瓦礫の集まりは衝撃を吸収するので、衝突に際して
こわれにくい。初めに硬い一枚岩だったとしても、衝突を受ければ瓦礫の集まりになる。しかし、
瓦礫を集めてくっつけている力はまだ明らかではない。一方で、小さな小惑星は一枚岩であろう。
引き合う力が弱いから、衝突に際して破片が飛び散ってしまうからだ。
小惑星(や彗星)が瓦礫の集まりであることを示す証拠がいろいろみつかっている。
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著者 | Paul R. Weissman (訳:渡部潤一、関口朋彦) |
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題名 | 彗星の故郷オールトの雲 |
原題 | The Oort Cloud |
初出 | SCIENTIFIC AMERICAN September 1998, 日経サイエンス 1998 年 12 月号 |
内容 | 彗星には、木星族(短周期彗星)、中周期彗星、長周期彗星がある。このうち、木星族には
周期が短いだけではなく軌道傾斜角が40°以下という特徴もあり、Kuiper Belt 起源だと考えられている。
一方で、中周期彗星と長周期彗星は Oort 雲起源だと考えられる。Oort 雲から初めてやってくる長周期彗星の
平均的な遠日点距離は 44,000 AU であり、これが Oort 雲の場所の目安になる。中周期彗星は、
かつて長周期彗星だったものが、惑星摂動で周期が短くなったものだと考えられている。
太陽系の近くを通った恒星が Oort 雲をゆすると、彗星シャワーが起きる可能性がある。 始新世末期の生物絶滅はそれが原因だったらしい。銀河系による潮汐力、巨大分子雲の接近も Oort 雲を揺する原因となる。 Oort 雲には 6 兆個の彗星があると推定できる。質量が 1 個あたり 400 億トンとすると、 全部あわせると地球質量の 40 倍になる。 Oort 雲の彗星の起源は、木星軌道より外側の惑星領域だったと考えられている。もともと そこでできたものが、木星・土星・天王星・海王星によって Oort 雲領域まで放り出されたのだろう。 |