驚異の太陽系ワールド 火星とその仲間たち

日経サイエンス編集部編
別冊日経サイエンス 144、日経サイエンス社
刊行:2004/02/25
(たぶん)名大生協で購入
読了日:2005/10/29
太陽系に関する以下の論説を集めたもの。前半部(「水星」まで)を 昨年 (2004 年 5 月ころ) に読み、間を開けて、 後半部(「金星」以降)を今年 (2005 年 10 月ころ) 読んだ。というのも、 教養の講義をやっていて惑星の解説をしているときになんとなく 参考にと思って読んだものだから、講義の時期に重なるのである。 惑星科学の最新の様子がわかって良い。

以下は、それぞれの記事のまとめ。現在 (2005 年)、昨年読んだことは もうだいぶん忘れているものの、 以下のそれぞれの記録は読んだ直後の記憶がフレッシュなときに書いたものである。

Part 1 火星 始まった新年代記

著者渡部潤一
題名7年ぶりの着陸機が挑む 失われた水の謎
初出書き下ろし
内容 最新の火星探査機 Spirit と Opportunity の観測予定概要と最新情報

著者Arden L. Albee (翻訳協力:勅使河原まゆみ)
題名風と水が作った幻想的な地形
和訳初出題名探査機がつかんだ火星の姿
原題The Unearthly Landscapes of Mars
初出SCIENTIFIC AMERICAN June 2003, 日経サイエンス 2003 年 8 月号
内容 火星の表層環境の特徴
  1. 表面は砂塵に覆われている。
  2. 猛烈な嵐があり、風による浸食や堆積が作った地形が数多く見られる。
  3. 気候が多様。極地方の CO2 の昇華によって、 季節によって大気圧が 25 % も変化する。塵や氷粒子が天気に大きく影響する。 極冠は主として H2O の氷である。     
  4. 地下に氷が大量にある。温暖期には一部融けるかもしれない。とはいえ、 地表は鉱物学的には非常に乾燥している。
火星の地形の見どころ
  1. 南半球は標高が高くクレーターが多い(古い)。北半球は広大な平原で クレーターが少ない(新しい)。赤道近くにタルシス高地が広がり、年代は中間的。
  2. タルシス高地には山岳氷河地形が存在する。
  3. 北半球は平坦でかつて湖の底だったと考えられる。
  4. 巨大なマリネリス峡谷は巨大な洪水でできたのだろう。
  5. 南半球に網目状峡谷がある。形成は火星初期の重爆撃期だが、そのころの 水循環の様子はさっぱりわからない(雨は降っていたのか?など)
初期火星に関する3つの説
  1. 初期大気は濃厚。海が存在した。その後二酸化炭素は炭酸塩になったか、宇宙空間に散逸した。
  2. 大気は初めから希薄。最初から寒冷な世界だった。ときどき温暖期があって水が融けた。
  3. 大気は希薄。温暖になったのは、隕石の大衝突後のみの一時期。    

著者G. ゾーベット (訳:矢野創)
題名人類が降り立つ日 生命探しの本命 有人探査のシナリオ
和訳初出題名生命探しのカギ握る有人計画
原題Why Go to Mars?
初出SCIENTIFIC AMERICAN March 2000, 日経サイエンス 2000 年 6 月号
内容 火星有人探査の意義: 生命探査のためには、有人探査が必要という意見とそうでない意見の紹介
有人探査は、ロボットよりもはるかに機動力がある。 また地下深くの試料を掘り出すのにも人間が必要。

Part 2 太陽と月 身近な星の実像を求めて

著者佐々木進・水谷仁
題名もう一度月へ 相次ぐ探査機打ち上げ
初出書き下ろし
内容 最近の月探査について

すでに終わったもの

  • Clementine (USA-NASA) レーザー高度計を使って地形図を作った。
  • Lunar Prospector (USA-NASA) 月面の化学組成を調べた。
上の2つの探査で、南極付近に氷がありそうなこともわかった。

これからの計画

  • SMART 1 (Europe-ESA) CCD camera、X 線分光計、赤外線分光計を搭載。元素分布や鉱物組成を調査。
  • Lunar A (Japan-JAXA) ペネトレーターに地震計と熱流量計を搭載。
  • SELENE (JAPAN-JAXA) 軌道から重力を調査。各種分光計、磁力計を搭載。そのほかに惑星電波観測なども行う。
知りたいことは (1) 月の形成過程 (2) 月の二分性の成因 (3) マグマの海の様相 (4) 過去の磁場などである。

著者James L. Burch (訳:柴田一成)
題名衛星がとらえた極大期の太陽嵐
原題The Fury of Space Storms
初出SCIENTIFIC AMERICAN April 2001, 日経サイエンス 2001 年 7 月号
内容 2000 年 7 月 14 日に太陽から激しいコロナ質量放出があり、大きな地磁気嵐が起きた。 最近ではこのような様子がさまざまな観測によってとらえられている。とくに 太陽の観測においては SOHO (Solar and Heliospheric Observatory) 衛星が、 磁気圏の観測においては NASA の IMAGE (Imager for Magnetopause-to-Aurora Global Exploration) 衛星が 重要な役割を果たした。

大きな磁気嵐が起こるのは IMF (Interplanetary Magnetic Field) が南向きのときである。 そのメカニズムは以下の通り。

  1. IMF が南向きだと、昼側の赤道帯でリコネクションが広く起こり、磁気圏が開く。
  2. 磁気圏が開くと、太陽風によって夜側磁気圏尾部に磁場が掃き寄せられる。
  3. 夜側磁気圏尾部に磁場エネルギーが溜まると、赤道面付近のプラズマシートが薄くなり、リコネクションが起こる。
  4. その結果、プラズマシート内の荷電粒子が加速され、一部は極域待機に飛び込みオーロラを光らせる。
  5. 一方で、赤道のリングカレントも荷電粒子が流れ込んで増強され、磁場強度を弱める。

太陽のコロナ質量放出が必ず磁気嵐を起こすわけではない。多くは地球に向かっておらず、 地球に向かっていても遅ければ衝撃波ができないのでたいしたことは起こらない。

IMAGE 衛星の搭載機器

  • 高エネルギー中性原子撮像装置:高速イオンが水素から電子を剥ぎ取って中性化して、 磁場に影響されずまっすぐ飛んできたものを測る。発生箇所のイオン密度や速度などを 推定することができる。
  • 極紫外線撮像装置:1価のヘリウムのイオン密度を測定する。
  • 遠紫外線撮像装置:広帯域カメラ、分光撮像装置、中性水素の輝線を観測する装置の3種類
  • 電波プラズマ撮像装置:荷電粒子による電波の反射を撮像

著者Bhola N. Dwivedi, Kenneth J. H. Phillips (訳:鹿野良平)
題名太陽のパラドックス コロナは表面よりなぜ熱い
原題The Paradox of the Sun's Hot Corona
初出SCIENTIFIC AMERICAN June 2001, 日経サイエンス 2001 年 9 月号
内容 太陽の光球が 6000 K なのに対し、コロナは 100 万度以上になる。このコロナの加熱機構は 長い間謎だったが、最近解明されつつある。コロナの高温域と磁場強度の強い領域がはっきり 対応していることから、加熱に磁場が関連していることは明らかである。ところが、古典的に考えると、 プラズマの電気抵抗は小さいため散逸が小さく、磁場による加熱は難しいと考えられてきた。 しかし、最近では乱流を考えると大丈夫だと考えられるようになってきた。

具体的な加熱機構としては、(1) 波動によるもの (2) たくさんの小さいフレアによるもの、 の2つが考えられている。このうち、後者のほうが有力である。フレアは磁力線の再結合が 原因で起こり、規模の小さなものはしょっちゅう起こっている。エネルギー的には、 それで十分なことが示されている。波動も部分的には重要かもしれない。たとえば、 コロナホールでは磁力線が開いているために、磁力線が再結合しても、エネルギーが コロナプラズマを宇宙空間を加速されるのに使われてしまう。そういうところでは、 波動も重要なのだろう。しかし、直接的な証拠はあまりない。

Part 3 惑星とその衛星 地球の兄弟たちの知られざる素顔

著者Robert M. Nelson (訳:阿部豊、小川佳子、小島勝行)
題名水星―忘れられた惑星
原題Mercury: The Forgotten Planet
初出SCIENTIFIC AMERICAN November 1997, 日経サイエンス 1998 年 2 月号
内容 水星は冥王星に次いで観測が少ない惑星だ。探査機は Mariner 10 号のみ、地上観測も 太陽に近いため難しい。水星の特徴には以下のようなものがある。
  • 自転周期:公転周期=2:3。潮汐が原因だがそうなるまでの過程はよくわかっていない。
  • 金属核が大きい。そのことの原因として考えられているのは以下の3つ。 (1) 原始太陽形成雲の中で水星付近だけ組成が異なっていた。 (2) 初期の太陽の活発な活動によって、揮発性成分が蒸発し吹き飛ばされた。 (3) 天体衝突で、低密度の成分が蒸発した。
  • 磁場があることから液体核がありそうだ。不純物のために融点が下がっているのかもしれない。
  • カロリスという巨大クレーターがある。クレーター年代学によると、形成は 36 億年前。 その結果、多くの割れ目や断層ができた。
  • 水星格子と呼ばれる直線状の地形ネットワークがある。水星の収縮によるのかもしれない。
  • H, He, O, Na, K などから成る希薄な大気がある。成因はよくわからないが、太陽風と関連しているだろう。
  • 水、もしくは硫黄のような揮発性物質が極にある可能性がある。
経済的問題や政治的問題などにより、NASA はなかなか水星の探査をしようとしない。

著者Mark A. Bullock, David H. Grinspoon (訳:はしもとじょーじ)
題名金星を襲った気候激変
原題Global Climate Change on Venus
初出SCIENTIFIC AMERICAN March 1999, 日経サイエンス 1999 年 6 月号
内容 マゼラン探査機の観測によって、金星表層の理解が大きく進んだ。金星にはプレートテクトニクスは 見られない。しかし、火山活動は存在する。とくに 8 億年位前に金星全体の地表を更新するような 大規模な火成活動があったと考えられている(「大規模一斉更新説」)。それは、金星には クレーターが少ないからで、クレーター年代学から言えば、金星表面の年齢は 8 億年位にしかならないからだ。 クレーターが少ないことを説明するには、ランダムで局所的な火山活動が常時起こっているという 「平衡地表再生説」もあるが、それでは同じような地形が広範囲に広がっていることを説明できない。 2つの説の折衷案もある。

金星の地形のいくつかは気候変動と関連しているようである。

川が流れたような地形
金星の地表が高温だったときにカーボナタイト・マグマが固まらずに地表を流れたと解釈できる。
テセラ
地表が高温だったときにリソスフェアが薄くなり、内部の流動が表面に影響を与えた。
リンクルリッジ(しわ)
大きな気候変動による熱応力と解釈できる。

著者らは、8 億年前の大規模火成活動が金星の気候に与える影響を調べた。火山活動で亜硫酸ガスが 放出され、これは直接的には硫酸の雲を作り太陽光を遮断するため寒冷化をもたらす。 しかし、亜硫酸ガスは地表の炭酸塩と反応して大気から除かれ、2 億年もすると雲が薄くなる。 2 億年くらいすると、火山活動で放出されていた水蒸気の温室効果のほうが重要になり、 気温が急上昇する。その水蒸気もやがて徐々に光化学反応で失われ、現在のような気温に戻る。

現在の金星で硫酸の雲が見られるということは、比較的最近でも火山活動があったことを意味する。 そうでなければ、炭酸塩との反応で失われているはずだからだ。

著者Torrence V. Johnson (訳:長谷川均)
題名木星探査機ガリレオが見た世界
原題The Galileo Mission to Jupiter and Its Moon
初出SCIENTIFIC AMERICAN February 2000, 日経サイエンス 2000 年 5 月号
内容 探査機ガリレオの主な結果の紹介。なお、エウロパについては次の記事参照。
大気プローブの結果
プローブの結果では、天気は晴れで乾燥していた。また、酸素や硫黄が少なかった。 それは、プローブがホットスポットに突入してしまったせいであると考えられている。 プローブが死ぬ寸前に、水、アンモニア、硫化水素の濃度が急上昇している。また、風は深いところまで 弱まっていない。これは木星の大気が内部からのエネルギーで動いていることを示している。
木星大気に関して、その他の結果
大きな雷が観測された。大気からヘリウムは相分離で減っているようだが、 他の希ガスの組成の説明は謎だ。
イオ
イオのまわりには火山噴火で吹き上げられた粒子が飛び交っている。イオと木星とをつなぐ 磁力線に沿って電子線が飛んでおり、イオの公転軌道に沿ってプラズマが広がっている。 溶岩の温度は非常に高く 1700-2000 K であった。これはマグマの組成が地球と異なることを示唆している。
ガニメデ
ガニメデに内部双極子磁場が見つかった。潮汐加熱でコアが冷え切っていないのかもしれない。
カリスト
クレーターが多く、古い時代(40 億年前まで遡る)の衝突の痕をとどめている。一方で、 小さいクレーターが少なく、粉のような物質が表面を覆っているらしい。しかし、その正体と起源は不明。 スペクトルから複雑な有機分子(ソリン)もあるらしい。磁場の観測から導電性の層があるらしい。 そのため遠くない昔に海水層があったという説もある。

著者Robert T. Pappalardo, James W. Head, Ronald Greeley (訳:山岸保子)
題名エウロパの隠された海
原題The Hidden Ocean of Europa
初出SCIENTIFIC AMERICAN October 1999, 日経サイエンス 2000 年 2 月号
内容 エウロパについてわかったこといろいろ。
  1. 「氷が割れて、間に水が入って、また凍った」ように見える地形が数多くある。
  2. クレーターが少なくて、表面の年齢は 1000 万年から 2.5 億年の間。
  3. 潮汐加熱によって内部の氷が融けている可能性がある。
  4. 表面の地形から、内部には水かもしくは流動的な氷があると考えられる。 とくに同心円状割れ目のある衝突クレーターの解析によって、7-8 km の氷地殻とその下の 流動的な層の存在が示唆される。
  5. 表面には硫酸マグネシウムがあるらしい。このことから内部海があるなら、それが塩水であることが 示唆される。
  6. 磁場の観測からも塩水の内部海の存在が示唆される。カリストでも同様の結果が得られた。

著者Joseph A. Burns, Douglas P. Hamilton, Mark R. Showalter (訳:渡部潤一)
題名惑星の環 その美を生んだ力学
原題Bejeweled Worlds
初出SCIENTIFIC AMERICAN February 2002, 日経サイエンス 2002 年 5 月号
内容 惑星の環の力学についてわかってきたこといろいろ。
  1. 環の粒子は互いに衝突し角運動量を再分配することで全体として広がる傾向にある。さらに
    1. 濃い(粒子密度の高い)環では、相互引力の効果により、環が歪むことがある。
    2. 薄い(粒子密度の低い)環では、衝突が起こらないので、平らな円盤にまとまらない。また、粒子が 小さいと輻射の影響を受ける。
  2. 環と衛星の間にはいくつかの力学プロセスが働いている。
    1. 軌道共鳴:このため、環に間隙が出来たり「しわ」ができたりする
    2. 衛星と環の粒子の間には実質的に斥力がはたらく:このため「羊飼い衛星」の作用が出たり、 環に wake 模様が出来たりする
    3. 衝突で物質の出入りがある:飛び散った残骸の環がある
  3. 環の寿命はおそらくそう長くはない。かりに太陽系形成時からあるにしても、常に更新されている。

著者S. Alan Stern (訳:渡部潤一)
題名最後の未踏地 冥王星への旅
原題Journey to the Farthest Planet
初出SCIENTIFIC AMERICAN May 2002, 日経サイエンス 2002 年 8 月号
内容 冥王星はカイパーベルト天体のひとつだ。それを探査する計画 New Horizons が著者らによって進められている。 2006 年打ち上げ、2015 年冥王星到着の予定である。
冥王星にはいくつか興味深い点がある。
  • カイパーベルト天体は太陽系形成期の情報を持っているはずだ。
  • 衛星カロンは非常に大きく、冥王星との連星であるとも言うことができる。冥王星とカロンは見かけもだいぶん違う。
  • 冥王星の希薄な大気は大きな季節変動をしている。さらに hydrodynamic escape を起こしている。

New Horizons に搭載する観測機器は以下の4種類である。
  1. PERSI : 化学組成を分析して mapping(1 km の分解能)
  2. REX : 電波によって大気構造を調べる
  3. PAM : 大気起源の荷電粒子をしらべる。
  4. LORRI : 高解像度カメラ(50 m の分解能)

Part 4 小惑星と彗星 脇役から探る太陽系

著者Erik Asphaug (訳:磯部三)
題名解き明かされる小惑星の世界
原題The Small Planets
初出SCIENTIFIC AMERICAN May 2000, 日経サイエンス 2000 年 8 月号
内容 最近小惑星の探査が多く行われるようになってきている。とくに重要な知見は、直径 1km 以上の 小惑星の多くが「瓦礫の集まり」であることだ。瓦礫の集まりは衝撃を吸収するので、衝突に際して こわれにくい。初めに硬い一枚岩だったとしても、衝突を受ければ瓦礫の集まりになる。しかし、 瓦礫を集めてくっつけている力はまだ明らかではない。一方で、小さな小惑星は一枚岩であろう。 引き合う力が弱いから、衝突に際して破片が飛び散ってしまうからだ。

小惑星(や彗星)が瓦礫の集まりであることを示す証拠がいろいろみつかっている。

  • 密度が低い
  • レゴリスで覆われている
  • 直径 200 m を超える小惑星の自転周期が 2.2 時間を下回ることはない。自転が速すぎると分裂するためだと解釈できる
  • マチルダのクレーター形状のシミュレーション
  • シューメーカー・レビー彗星が木星に近づいたときいとも簡単に分裂した

著者Paul R. Weissman (訳:渡部潤一、関口朋彦)
題名彗星の故郷オールトの雲
原題The Oort Cloud
初出SCIENTIFIC AMERICAN September 1998, 日経サイエンス 1998 年 12 月号
内容 彗星には、木星族(短周期彗星)、中周期彗星、長周期彗星がある。このうち、木星族には 周期が短いだけではなく軌道傾斜角が40°以下という特徴もあり、Kuiper Belt 起源だと考えられている。 一方で、中周期彗星と長周期彗星は Oort 雲起源だと考えられる。Oort 雲から初めてやってくる長周期彗星の 平均的な遠日点距離は 44,000 AU であり、これが Oort 雲の場所の目安になる。中周期彗星は、 かつて長周期彗星だったものが、惑星摂動で周期が短くなったものだと考えられている。

太陽系の近くを通った恒星が Oort 雲をゆすると、彗星シャワーが起きる可能性がある。 始新世末期の生物絶滅はそれが原因だったらしい。銀河系による潮汐力、巨大分子雲の接近も Oort 雲を揺する原因となる。

Oort 雲には 6 兆個の彗星があると推定できる。質量が 1 個あたり 400 億トンとすると、 全部あわせると地球質量の 40 倍になる。

Oort 雲の彗星の起源は、木星軌道より外側の惑星領域だったと考えられている。もともと そこでできたものが、木星・土星・天王星・海王星によって Oort 雲領域まで放り出されたのだろう。