新宿二丁目ウリセン物語
飛川直也著
河出書房新社
刊行:2004/09/20
名古屋黒川の古本屋 BOOK OFF 黒川店で購入
読了日:2006/02/18
ウリセンとは男娼のことである。これはその店の経営に関わっている人が、
その経験を書いたものである。男娼と言えば体を売るわけで、ある意味では
社会の底辺に生きる人々である。だから、当然それぞれの人に
それなりのドラマがある。客のほうもボーイにはまって転落する例もあるらしい。
このような点は、男娼でも娼婦でもあまり本質的にはかわらない。
そういったエピソードの数々がこの本で描かれていることである。
しかし、全体的に見ると、世話好きのおばさん(著者は男だが、話し方が
おばさんぽい)の世間話を長々と聞かされている雰囲気で、今一つである。
まわりにはいろいろ世話が焼ける人がいるので、私は世話を焼いてあげています
という語り方が全体の基調になっている。その結果、ノンフィクションとしては
突っ込み不足だし、体験談としては、著者自身が枠の外の安全圏に避難している
感じがするのが不満。そもそもこの著者はどうしてこういう商売を始めるに
至ったのだろうか?