小学館ウィークリーブック 日本庭園をゆく 14, 27, 28, 29 巻

小学館
刊行:2006/01/17,04/18,25,05/02(実際はこのそれぞれ1週間前)
名大生協、紀伊国屋書店ロフト名古屋店で購入
読了日:2006/04/28

全国の日本庭園を集めたもの。当然のことながら半分くらいが京都の庭という シリーズである。買ったのは東海地方に関連する上記4巻。

14 「東海の名園」名古屋城、北畠氏館跡庭園、龍潭寺
東海地方の庭園が3つ。
名古屋城二之丸庭園は、行ったことはあるのだと思うのだがあまり 記憶にない。名古屋城と言えば、すぐに天守閣の方に 目が行くのでそんな名園があったとは...という感じだ。ただ、 明治以降、軍司令部設置等でだいぶん痛め付けられて、残っているのは ごく一部である。武家の気風を残しているということらしい。
北畠氏館跡庭園は、室町時代末期(戦国時代)の庭。 三重県の今となってはかなり辺鄙な所にあるのだが、 当時は伊勢北畠家の本拠だったらしい。
龍潭寺は小堀遠州作と伝えられる江戸時代の明るい庭園。
27 「用と美の結晶」茶庭
茶庭は、茶室と組み合わせて狭い場所に凝縮された美を表現している。 非公開のものが多いのが残念。東海地方のものとしては、犬山の 有楽苑の如庵と、知多半島の中埜氏邸が紹介されている。中埜氏邸は非公開。 如庵はもともと京都に建てられたものを移築してきたもの。 織田有楽斎が尾張出身という意味で、愛知県ゆかりである。
28 「時を超える禅の世界」夢窓国師の庭
夢窓国師の生涯と庭づくりが紹介されている。これによると、夢窓国師は 修行のために余り表立ったところに出ないように逃げ回っていたのだが、 評判が余りにも高くて、天皇、上皇、幕府のトップがこぞって教えを受けることに なったという。仏教一筋で、非常にカリスマ的な人だったのだろう。
東海地方との関連は、夢窓国師が伊勢の生まれだということと、 最初に作った庭が多治見の永保寺庭園だということだ。夢窓国師にとって、 庭は鑑賞の場ではない。禅の修行の場であった。
29 「綺麗寂びの世界」小堀遠州の庭
小堀遠州は東海地方とそれほど関係するわけではなけれど、 名古屋城築城に関わったことと、徳川家康、藤堂高虎との関係が深いことが 東海地方がらみである。さらに、東海地方に静岡県まで入れれば、 遠州という名前が駿府城建築に関わったことを示している。
小堀遠州の美意識の特徴は、洗練されたデザイン性にある。誰からも 確かに美しいと言われそうな、スマートで典型的に日本的な形態を 確立したと言えるだろう。