著者の見方によれば、アメリカがありもしない大量破壊兵器を理由に イラクに侵攻したのは、フセインがユーロを石油の決済通貨にしたからで、 主目的はドルの優位性を守ることであった。泥沼化も計画通りで、 そのことによって、アメリカはイラクを軍事的・経済的に長期間支配することが できるようになった。こういうものだとすると、イラクで死んだ人は 本当に哀れなものである。
ドルは基軸通貨であるがゆえに、貿易赤字が増えても何ともない。 ふつう赤字が増えるとドルが安くなるのだが、日本のような輸出国は 円高になっては困るのでドルを買い支える。その分日本は為替差損を被る。 ドルを買い支えるとドルが余るので、しょうがないから米国債を購入する。 こういうわけで、アメリカはいくらでも国債が発行できて、いくらでも 世界からものを買い続けることができる。斯様にして、アメリカは 世界の富を吸収し続ける。
著者によれば、これから10年程度先にアメリカは中国に戦争を仕掛け、 中国を「民主化」する。そのことによって、アメリカは中国の富も 吸い上げることを狙っている。日本は、今更逆らってもしょうがないので、 素直に従っているのが良いとのこと。
以上のように、見方はたいへん個性的で強烈なのだが、なるほどと 思わせておもしろい。なお、 著者のホームページでも、著者の見方を知ることができる。