増田俊男の2006年大予測 史上最大の株価急騰がやってくる!

増田俊男著
ダイヤモンド社
刊行:2005/10/27
名古屋星ヶ丘の榮進堂書店 E:S 店で購入
読了日:2006/01/16

現在の世界ではアメリカがヘゲモニーを握っており、アメリカは 自国が経済的に得をするようにえげつなく行動しているという見方が 書かれた本。自由とか民主主義というお題目の陰には必ず アメリカ経済を伸ばすという目的がある。小泉内閣はアメリカべったりで 郵政民営化もすることになったので、とりあえず将来数年の予測としては、 日本の株価はどんどん上がるだろうと述べている。

著者の見方によれば、アメリカがありもしない大量破壊兵器を理由に イラクに侵攻したのは、フセインがユーロを石油の決済通貨にしたからで、 主目的はドルの優位性を守ることであった。泥沼化も計画通りで、 そのことによって、アメリカはイラクを軍事的・経済的に長期間支配することが できるようになった。こういうものだとすると、イラクで死んだ人は 本当に哀れなものである。

ドルは基軸通貨であるがゆえに、貿易赤字が増えても何ともない。 ふつう赤字が増えるとドルが安くなるのだが、日本のような輸出国は 円高になっては困るのでドルを買い支える。その分日本は為替差損を被る。 ドルを買い支えるとドルが余るので、しょうがないから米国債を購入する。 こういうわけで、アメリカはいくらでも国債が発行できて、いくらでも 世界からものを買い続けることができる。斯様にして、アメリカは 世界の富を吸収し続ける。

著者によれば、これから10年程度先にアメリカは中国に戦争を仕掛け、 中国を「民主化」する。そのことによって、アメリカは中国の富も 吸い上げることを狙っている。日本は、今更逆らってもしょうがないので、 素直に従っているのが良いとのこと。

以上のように、見方はたいへん個性的で強烈なのだが、なるほどと 思わせておもしろい。なお、 著者のホームページでも、著者の見方を知ることができる。


些細なミスをひとつ見つけた。p.128 で東シナ海の春暁ガス田が 沖ノ鳥島の近くであると書いてある。正しくはもちろん尖閣諸島である。