本を分類する

緑川信之著
勁草書房
刊行:1996/10/15
名大中央図書館で借りた
読了日:2006/06/10

図書委員会の関係で、図書館の本の請求番号について考えないといけない 羽目になって、お勉強のために読んでみた。わが理学部では、図書の請求記号の 体系を変える必要がでてきたからだ。 本書は、本自体としては、図書の分類を専門とする人が書いているせいか、 羅列的であったり、分類のための分類の話のような感じになっている部分が あったりして、書き方が面白くない点があるのだが、とりあえず勉強にはなる。

ともかく、よくわかることは、完全な分類なんて無いし、DDC(デューイ十進分類) や NDC(日本十進分類)みたいに圧倒的な普及率を持ってしまったものがあると それが良いか悪いかに関わらずそれらを中心に考えざるをえないので、 いくら考えたところでどこかで割りきらないとしょうがないということだった。 もともと十進分類自体、分類として完全なものをめざしたというよりは、 かなり実用的側面を大事にした分類である。そもそも一寸考えればすぐ分かる通り、 ものごと何でも十を単位にして分類できるわけがないので、最初から 実用目的である。そういうものなので、いくらそれを丁寧に分析したところで、 どこか半端な部分ができてきてしまう。

電子検索が普及した現在はとくに、請求番号の目的は第一にわかりやすい 配架をすることにある。十進分類は図書職員にとっても配架しやすいし、 利用者も探しやすいというメリットがあった。ただ、最初に制定されたときから かなり時間が経っている現在からみると、十を単位に分けるとしたために 生ずる窮屈さがかなり目立ってきている感がある。アルファベットも 組み合わせたような記号の方がたぶん良いに決まっているのだが、 NDC や DDC には、すでに多くの場所で普及しているということから、 それと外れたことをするのにはデメリットもあり、これから理学部で 新しく図書の請求記号を決めるのは悩みが出てきそう。