特別展図録 名古屋の漁師町 下之一色

名古屋市博物館
刊行:2004/07/31
名古屋市博物館で購入
読了日:2006/06/10

2年前の展覧会で買ったものをいまさら取り出して読んでみた。 今の名古屋からは想像できないが、つい最近(昭和 30 年代前半)までは、 伊勢湾は豊饒の海で、名古屋市内にも漁師町があったのである。 その最大のものが中川区の下之一色である。下之一色は、新川と庄内川に 挟まれた三角形の地域で、1783 年の新川開削以降、 海へまっすぐに漁船を出せるようになって発展した。

昭和30年頃の写真がけっこうあって、つい50年前までは かくも今とは違って手作業でいろいろやっていたのだと思うと 感慨深い。同時に、そのうちエネルギーが枯渇してきたら、こういう 生活に戻るんじゃないかという考えもちらとよぎる(もちろん そのまま逆戻りということはありえないが)。

これを見て周辺の知識をネット等であさっているうちに初めて知ったことがひとつ。 それは、中部地方は牛頭天王信仰がさかんだったということだ。 下之一色にも天王社があり、一色祭りでは、かつては津島天王祭と同様の 巻藁船が出ていたということだ。私は地元出身ではないので、 そういう知識には疎かった。