企画展図録 富士見の里 昔の前津 ―江戸から昭和―
名古屋市博物館
刊行:2006/05/27
名古屋市博物館で購入
読了日:2006/06/17
博物館の展覧会に行って記念に買った。この図録は、展覧会以上の情報を
入れようという気はないらしく、ほぼ展覧会そのままの内容である。
昔の前津は、名古屋の市街に隣接する田園地帯だったそうで、市街との
境目あたりには、風流人の別荘があったり、やきものの窯があったりした。
というわけで、展示の主体は、それら風流人の作品と陶器が中心。
広い意味での風流人関連の展示としては
- 尾張藩兵法指南の柳生連也の隠居所があったことから、ゆかりの刀など
- 俳人の横井也有や久村暁台が住んでいたことから、俳句の本や俳画など
- 画家の山田宮常、張月樵、小島老鉄が住んでいたことから、彼らの中国風の絵画
- 小田切春江による尾張関連の絵図
があり、
やきものでは、豊楽焼、不二見焼が展示されていた。
昔ははるかに富士山が見えていたかもしれないという話があり、
北斎富嶽三十六景の「尾州不二見原」がチケットをはじめ
この展覧会を象徴するモチーフに使われている。
今や名古屋中心部の一部となった前津ののどかな昔を想像させる
興味深い展覧会だった。