私は、グールドのエッセイは好きで結構たくさん読んだので、 グールドの論点がまとめてあるところはよく理解できて、 グールドの考えの限界も含めてうまくまとめてあると思った。 ドーキンスの方は、私はほとんど読んでいないので、 今一つ分かりにくい点もあるのだが、まあだいたいわかった。
対立点の第一の、淘汰が作用するのが遺伝子か個体かという点に関しては、 これを読んで考えてみるに、もともとAかBかという問題ではないような 気がしてきた。私に良いアイディアがあるわけではないが、たぶん それらを統合した立場から解決が図られる問題であるような気がする。 その他の対立点に関しても、その中間あるいはそれらを止揚した立場から 解決がおそらく図られるのであろう。そういう意味で、著者が中間的な 立場を取るのも理解できる。ドーキンスもグールドもちょっと過激な 主張をしてみせるスターで、学問を進める力のある人である。 その他の有象無象のエピゴーネンたちが議論をすることで学問が進む。