いろいろな記事に為替変動の要因がいろいろ書いてあるわけだけれど、 結局のところ後付けの理窟はあるけど今後の予想は難しい。 最近の特徴は、為替相場を貿易取引ではなく資本取引が決めているということで、 個人マネーの外貨による運用も無視できないとのこと。私も経験したところで、 銀行がそれを勧めていたりするのだから、それもむべなるかなである。 円キャリートレードなんていうことばも最近新聞でも見かける新語。 新語と言っても、素人には新語でも玄人筋は昔から知っていたのだろうけれど。 上のどちらの現象にしても、大ざっぱに言えば、彼我の金利差が為替レートを 決定づける大きな要因であるということのようである。
記事の中で、そういえばそうだったと思ったのは、最後のドル・円レートの 1971 年以降の歴史を振り返った、高島修「ドル基軸維持に翻弄されてきた 円の歴史」である。世界政治の流れで為替レートが動いてきた歴史を 振り返ることができる。政策的な為替介入が為替レート変動の大きなトレンドを 支配してきたことが分かる。 ここに 1971 年以来のドル・円レートのグラフが出ている。 1 ドル=360 円だった時代からすると、ドルは円に対してずいぶん安くなった ものである。円高・円安で世の中一喜一憂するわけだけれど、ここのグラフを 見る限り、最近振幅はだいぶん小さくなってきているようである。 1989 年に 160 円くらいになり 1995 年に 80 円くらいになったのを最後に 振れ幅はその範囲内で納まっているしだんだん振幅が小さくなっているようにも 見える。将来のことはもちろんわからないけれど、特集タイトルの「暴走」に 反して、ドル・円レートは安定してきている、というのが長い目で見たときの 正しい見方かもしれない。