深海生物の謎

北村雄一著
サイエンス・アイ新書 SIS-032、ソフトバンク クリエイティブ
刊行:2007/08/24
名大生協で購入
読了日:2007/09/12
写真をふんだんに使って、深海の生物のさまざまの様相を紹介している好著。 良い点は、地層に残る生痕化石から始まって、初島沖の冷湧水系、 熱水系、鯨骨、乱泥流、海溝とさまざまの生態系を一通り説明してあることである。 生物だけでなく化石にも注意を払っているところが好ましい。 著者はサイエンスライターのようだけれど、幅広く取材をして きちんと目配りをしていることがわかる。

私は仕事上、熱水系の話はわりあいに良く聞くのだが、 一方で、泥の上の生物の話はほとんど聞いたことがなかった。 ここで泥の上の生物たちの写真を見て、初めて生痕化石と 頭の中で結びついた次第。

問題点を挙げれば、写真の説明が写真のどの部分を指しているのか 分からないものがいくつかあったことだ。 写真の中に矢印を書き込む等もう少しできることがあったと思う。 深海用のビデオから取ってきたような写真なので、不鮮明だったり、 被写体が端になってしまったりすることがあるので、その分 説明をかなり親切にしなければならない。