その時歴史が動いた コミック版 古代黎明編

NHK 取材版編
作画:田中正仁・出月こーじ・田辺節雄・井沢まさみ・小だまたけし・小川おさむ
ホーム社漫画文庫 特 2-39、ホーム社(発行)/集英社(発売)
刊行:2007/10/23
名古屋四谷通のセブン・イレブン名古屋四谷通2丁目店で購入
読了日:2007/11/27
漫画で NHK の番組を楽しむというもの。コンビニでちらっと見たら、 中に見た番組の話が含まれていたので買ってみた。 テレビも漫画も視覚メディアという意味では共通点があるが、違いも多い。 共通点としては、気楽に見ることができてわかりやすい一方で、 文献や資料などの根拠がよくわからないということがある。 違いの方で気づいたことには以下のようなことがある。 まず、テレビには解説者の解説が入るのに対し、 漫画の方は単に一つのストーリーとして描かれ、解説が入らない。 それから、テレビ番組では、偏ったイメージを与えないようにする意図からか、 往々にしてドラマ仕立のところで登場人物の顔を見せないのに対して、 漫画では顔まで描いてしまうから、その顔を見ただけで 悪役として描かれるのかヒーローとして描かれるのかがわかってしまう。

本書で取り上げられているのは以下の6つのストーリーである。

古代の文明開化―1号寺院・飛鳥寺建立の戦略 [これは番組を見たと思う]
第241回 に基づく。古代において積極的に大陸文化を輸入していった 蘇我馬子の話。
蘇我入鹿暗殺事件―実録・大化改新のクーデター
第12回 に基づく。当時無冠の中臣鎌足がいかにしてクーデターに 成功したかを描く。蘇我入鹿は悪人面で描かれているが、ところどころで 入鹿の見識を持ち上げている。わりと最近 NHK スペシャルで大化改新が取り上げられたのを見た。そこでは、入鹿は きわめて開明的な政治家であって、鎌足や中大兄は保守反動ということに されていた。
壬申の乱―天武天皇誕生の秘密
第243回 に基づく。大海人皇子の巧みな戦略と人心掌握術(手品を 使った?)を描いてある。
誰がための仏教か―鑑真和上の宗教改革
第236回 に基づく鑑真の物語。
帝と民の巨大プロジェクト―東大寺大仏聖武天皇の挑戦
第253回 に基づく大仏建立物語。
ひらがな革命―国風文化を生んだ古今和歌集
第271回 に基づく。いつもは悪役の藤原時平が、ここでは「ひらがな 革命」の功労者として描かれているのにビックリ。時平はプレーボーイ だったので、和歌が得意だった。で、日本の独自性を持ちたいという 政治的な思惑もあって、ひらがなを使った「古今和歌集」の編纂を命じた。 ここから、日本独自の文化がいくつも生まれるようになる。