プリンに醤油でウニになる

都甲潔著
サイエンス・アイ新書 SIS-033、ソフトバンク クリエイティブ
刊行:2007/09/24
名大生協で購入
読了日:2007/11/08
先日テレビ番組で、味覚は5種類に分けらるという話を聞いて、 最近はそういうことがわかっているのかと驚いた。 味覚センサーなるものも最近はテレビに出ているのだが、 何だかよく知らなかった。そういうときに、たまたまこの本を 書店店頭で見つけたので、読んでみた。 それで初めて、味覚と味覚センサーがどういうものかだいたいわかった。 もちろんサイエンス・アイ新書の常として、あんまり細かいことは 書いていないので、雰囲気くらいしかわからないのではあるが。 とはいえ、サイエンス・アイ新書の常として、図をふんだんに使って 書かれているので、けっこうわかりやすい(ただ細かいところで わからないところはあるし、重複なども見られる)。

ここで初めて知ったこと: 味覚は、「酸味」「塩味」「苦味」「甘味」「うま味」の5つに 分けられる。という意味は、人間の舌には、その5種類に 対応したセンサーがあるということである。これに加えて、「辛味」は 痛覚を刺戟するもの、「渋味」は痛覚センサーと苦味センサーを刺戟する ものである。で、著者は、その味覚を機械で測ることに成功した。 原理は、何種類かの脂質膜の膜電位を測って、それらを組合わせること (主成分分析)で味を定量的に測定するというもので、 それでほぼ完璧に味覚を定量化できるのだそうだ。

味覚がそういうたった5種の組合わせであってみれば、まったく異なるものが 同じ味になるということも起こる。たとえば、題名の通り、 醤油とプリンを混ぜると、安いウニの味になるとのこと。それから、 コーヒー牛乳の味は、麦茶+牛乳+砂糖で作れるそうだ。

もちろん、広い意味での「味」は、味覚だけではなくて、歯応えとか匂いとかが 総合されているものなので、そう単純でもない。においの嗅覚の方は、 レセプターが350種類もあり、人間のセンサーの感度も高いそうなので、 人工的なセンサーはまだ不十分なレベルにあるとのこと。