オンリー・ミー 私だけを
三谷幸喜著
幻冬舎文庫 み 1 1、幻冬舎
刊行:1997/04/25
文庫の元になったもの:1993/11 メディアファクトリー刊
廃棄してあったものを拾った
読了:2008/09/14
今をときめく脚本家三谷幸喜による肩の凝らないエッセイ集。
「とらばーゆ」の連載を中心にまとめられたものらしい。
著者があとがきに書いているとおり「読んで役に立たない」。でも面白い。
著者独特のユーモアで彩られているから、書いてあることが本当かどうかもわからない。
あとがきには「九十九パーセント事実であり、残りの一パーセントは文学的誇張である」と
書かれているものの、本当だろうか?
ちょっと目にとまったことのメモ。
- エッセイ「政局」は、細川内閣誕生を扱ったものである(したがって 1993 年夏に書かれたもののはず)。
その最後の部分で、小泉純一郎に注目しているところは、さすがに世の中の空気を先読みするのが
うまいというべきか。小泉氏について
実は一番注目しているのがこの小泉氏なのである。とにかくまるで偉そうに見えないのが素晴らしい。
ゆくゆくは政権でも取って、総理のイメージも一新してほしいものである。新しい総理も、
偉そうなことにかけちゃ、今までとそう変わりはないから。
と書いてある。小泉氏は、その後 2001 年、まさに旋風を起こして総理大臣になってしまった。
- エッセイ「方言」では、博多弁を扱っている。著者は東京育ちだが、両親が九州人らしい。
私も北海道育ちだが両親が九州人なので、以下のようなことばが通じてしまう。
小学生の時の思い出を書いているところで、
「Nさんが、しかぶっとります」
この僕には、それが方言であることすら思いも寄らない。東京では、自分の家族以外の人は、
普通「おしっこを漏らす」ことを「しかぶる」」とは言わない、なんてことを一体誰が想像出来るだろうか。
とある。「しかぶる」は私にとっても懐かしい言葉である。