隔週刊 クラシック・イン

小学館 CD つきマガジン、小学館
刊行:2005/02/08-2006/12/26 (実際は 2005/01/25-2006/12/12)
名大生協などで購入
読了:2008/09/21
クラシック音楽の CD 付きの隔週刊雑誌。2年前に発売終了しているのだが、ようやく 2年経って全部聴き終った。

選曲は一般向けに非常に有名な曲を取り揃えている。オタク向けのはあまりない。 室内楽が少ないのは室内楽ファンの私としては残念。 CD 音源は EMI が主で、発売からしばらく経って今やそんなに高くては売れないというもの (廉価版になっているようなもの)が主である。そういうものなので、超名盤ではないが、 かなり高い水準のものがそろっている。

以下、各巻の感想。

モーツァルト1 ピアノ協奏曲第20番&第26番「戴冠式」&「トルコ行進曲」
クラッシックと言えばモーツァルトだったりベートーヴェンだったりするという 定番の始まり方。解説もいつものように天才とか神童とか書いていたりするというわけで いまひとつ物足りない。そういうのはもう聞き飽きたからもっと突っ込んで書いて欲しい と言ってしまいたくなるのは、高望みのし過ぎか? CD の演奏はバレンボイム+ECO旧全集のもので、若さあふれる演奏で定評のある名演。 ま、これが 490 円(創刊記念特価)で買えるのだから安いものである。
ヴィヴァルディ 協奏曲集「四季」&「調和の霊感」
メインは、言わずと知れた「四季」。とはいえ私はバロックをあまり聞かないので、久々に聴いた。 やっぱり爽やかで気持ちの良い曲である。「調和の霊感」のうち協奏曲第6番作品3-6の第1楽章は 昔練習したことがあったことを思い出したが、ここではピリオド楽器で演奏されており、 だいぶん印象が違った。歯切れが良すぎるくらい歯切れよくきびきびと演奏されている。 バロックの音というのはこういうものなんだなと初めて認識した。
フジ子・ヘミング名演集
不運が重なった人生をテレビで紹介されて以来人気が高まったフジ子・ヘミングの演奏。 演奏自体は訥々としたところがあって、技術を重視する人には不満だろうし、 スマートさを求める人にも不満だろう。しかし、こういうのはフジ子・ヘミングの 人生と演奏を重ね合わせて楽しむものだと思えば、これもひとつの楽しみ方か。
ベートーヴェン1 交響曲第5番「運命」&第6番「田園」
クラシックの中でもたぶん最も有名な曲。解説では、ベートーヴェンが新しい物好き だったことを紹介していて、なるほどと思った。CD はサヴァリッシュ+コンセルトヘボウ の全集によるもので、スマートで音が分厚く響く演奏である。
チャイコフスキー1 ヴァイオリン協奏曲&ピアノ協奏曲
解説の「クラシックの基礎知識・楽器編」はコントラバスの紹介。 弓に2種類あることや、コントラバスの語源を初めて知った。 語源は、昔音名を文字で表していたとき標準より低い音には文字の下にダッシュを 付けていて、それをコントラと呼んでおり、それを演奏する楽器という意味だそうな。
CD は華麗で有名な協奏曲2曲。1990年のチャイコフスキーコンクールのガラ演奏会のライブ録音。 ヴァイオリン協奏曲は諏訪内による情感どろどろ演奏。ピアノ協奏曲のベレゾフスキーはいまいち。
モーツァルト2 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」―やすらぎの名曲集
豆知識:モーツァルトの当時のフルートは音程が不安定で作曲家から敬遠されていたんだそうな。 それでもモーツァルトはフルートを使った曲を作っている。フルートが金属製になり、 キーの付いた蓋で穴を開け閉めするようになったのは 19 世紀半ばで、それから音程が正確になった。
CD は小編成の管弦楽と室内楽の有名な曲を集めたもの。
ドヴォルザーク1 交響曲第9番「新世界より」&スラブ舞曲
美しいメロディーの溢れるドヴォルザークの名曲。気持ち良く聴くのみ!
メンデルスゾーン/ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
メンデルスゾーンがバッハの紹介者であることは知っていたが、 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者として近代的な指揮者のあり方の 基礎を築いたとか、ライプツィヒ音楽学校を設立したとか、いろんな仕事をしていたとは 知らなかった。ところで、私はメンデルスゾーンが死んだ年齢 (38 歳) を越えてしまった。
弦楽器の曲には開放弦を主音とする調のものが多いというのも、ここの池辺晋一郎の記事で 初めて知った。
演奏は、サレルノ-ソネンバーグによる可憐派(ちょっとやりすぎだと思う)のメンデルスゾーンと ツィンマーマンによる清純派のベートーヴェン。
チャイコフスキー2 交響曲第6番「悲愴」&「1812年」序曲
池辺晋一郎の解説で、この曲にはいろいろ創意工夫が凝らされていることを知った。 たとえば、第2楽章が5拍子のワルツであるとか、第4楽章冒頭の旋律が 第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの音を交互につないで作られているとか。
CD はフェドセーエフとモスクワ放送交響楽団によるダイナミックレンジの広い演奏 (この組み合わせの録音は 1981 年、1991 年、1999 年の 3回あるそうで、 ここで使われているのは古い 1981 年のもの)。
モーツァルト3 交響曲第40番「悲愴」&第41番「ジュピター」
モーツァルトは貧乏だったのだと思っていたら、最初の記事によると全然そうでは なかったらしい。年収は平均的な官吏の数倍あったということで、晩年多少収入が 減ったとはいえ、そんなに困るはずはなかったのだそうだ。にもかかわらず、 死の3,4年前頃から借金生活に突入してしまう。どうしてそうなったのかは まだよくわかっていないということだ。CD はテイトと ECO による安定感のある演奏。
ヘンデル 「水上の音楽」―バロック名曲集
CD はバロック音楽の有名どころを集めたもの。冊子にはバロック音楽とは何かという解説がある。 音楽的な部分をまとめると、(1) オペラの誕生 (2) 声楽を伴わない器楽曲の発達 (3) 「独奏(独唱)+伴奏」という形態の誕生 (4) 通奏低音、といったことになる。
ショパン ピアノ協奏曲第1番&「子犬のワルツ」―名曲集
ショパンはパリのサロンの寵児であったそうな。私は、彼が死んだ歳 39 歳になってしまったことに気づいた。 CD は、ポリーニ、ブーニン、ワイセンベルクによる一昔前のもので名演揃い。
モーツァルト4 ピアノ協奏曲第21番&第27番&ピアノ・ソナタ第15番
このシリーズのモーツァルトの解説は、伝説を冷静に否定することがいろいろ書かれてあって好ましい。 この号では死の年 1791 年の解説がなされている。モーツァルトの死は悲劇的に描かれることが多いが、 それほどのことでもなかった。要するに急死したということで、後年にいろいろの伝説ができてしまったものらしい。
池辺晋一郎の解説で、ピアノ協奏曲第21番第2楽章の冒頭部のメロディーが3小節で一区切りになっていることを知った。 そういう珍しい構造でありながらそれを感じさせないのがモーツァルトの天才だそうだ。
J.S.バッハ ブランデンブルグ協奏曲第5番&管弦楽組曲第2番&「G線上のアリア」
池辺晋一郎が通奏低音の簡単な解説をしている。私は今までバロックをあまり聴いていなかったので、 今頃どういうものかを知った。CD に収録されているのは、題名は忘れていたけどそういえば聴いたことがあったと いう感じの有名曲ぞろい。
シューベルト 交響曲第8(7)番「未完成」&第9(8)番「ザ・グレート」
柴門ふみのエッセイで紹介している中原中也の「お道化うた」が気に入った。それはこんな感じで始まる。
月の光のそのことを、
盲目少女(めくらむすめ)に教へたは、
ベートーヱ”ンかシューバート?
俺の記憶の錯覚が、
今夜とちれてゐるけれど、
べトちやんだとは思うけど、
シュバちやんではなかつたらうか?
シュバちゃんというと、今やシュワちゃんを連想したりしてしまうけれど、 シューベルトをシュバちゃんと呼んだこの言語感覚の軽妙さにびっくり。
ベートーヴェン2 ピアノ協奏曲第5番「皇帝」&交響曲第7番
収録曲は「皇帝」と交響曲第7番という、どちらも勢いがあって元気の出る曲だ。 解説によれば、ワーグナーは、交響曲第7番を「舞踏の神化」と評したという。
千住真理子ヴァイオリン・コンサート「ツィゴイネルワイゼン」
千住真理子によるおなじみのヴァイオリン小品集。気持ちよく聴けてゴキゲンという曲ばかり。
モーツァルト5 クラリネット協奏曲&フルート・ハープ協奏曲&フルート協奏曲
フルートとハープのための協奏曲なんていう珍しいもの(ハープのファンにとってはポピュラーかも しれないが)をいれてあるのがこの巻のポイント。私は聴いたことがなかったけど、 典雅な雰囲気の曲である。フルートを吹く伯爵とハープが弾けるその娘のために書いたものだそうな。
「亜麻色の髪の乙女」―ピアノ名曲集
池辺晋一郎の解説にあった豆知識:ピアノの小品で、バガテル(bagatelle)というジャンルがある。 bagatelle は「つまらないもの」という意味で、つまらないものですが云々という謙譲の精神が 日本のものだけではないということを示しているのだそうだ。
ホルスト/エルガー 「木星」&「愛のあいさつ」―イギリス管弦楽名曲集
イギリスの音楽にはそれほど強烈な民族性がないので、よく「中庸」と言われる。 この巻の冒頭の解説では、その特徴を以下のようにまとめている。
明るい音程と弦楽器による調和した響き、そして民族性を表立って掲げるのではなく、洗練された 響きのなかでほのかに感じさせる懐かしさ
ロドリーゴ/タルレガ 「アランフェス協奏曲」&「アルハンブラの想い出」―ギター名曲集
スペインの名曲をギターで楽しむ巻。いかにもスペイン的な憂愁やら情熱を含んだ名曲ぞろい。
ベートーヴェン3 交響曲第9番「合唱」
年末におなじみの曲を一月前に合わせて十一月に売り出してきたという感じ。 ベートーヴェンがどういうテクニックで陶酔感を作り出しているかを、池辺晋一郎が解説している のがおもしろい。音楽が高まったところ3度下に転調、ということである。
チャイコフスキー3 バレエ音楽「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠りの森の美女」
余りにも有名なバレエ組曲集。冒頭と池辺晋一郎の解説では、これらのバレエの振り付けを手がけた マリウス・プティパの役割を強調している。私は初耳の名前だったが、このプティパこそが クラシック・バレエの様式を確立した人ということだ。
ヨハン・シュトラウス2世 「ウィーンの森の物語」―ウィンナ・ワルツ名曲集
シュトラウス父は息子が音楽家になることを喜ばず、息子の妨害までしたというのは初めて知ったこと。 シュトラウス父は、変わった人だったのだろうか? CD は名曲集。ワルツ「芸術家の生涯」以外は おなじみの曲ばかり。
ベートーヴェン4 ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」
ピアノの歴史の解説が載っている。それを読んで驚くのは(前にもどこかで聞いたような気もするが)、 ピアノは、ベートーヴェンの時代には基本形は出来ていたもののまだ音域も確定していなくて、 システムにも改良がいろいろ加えられており、発展途上の最新技術を用いた楽器だったということである。 今で言えば、電子楽器を駆使して作曲していたようなものかもしれない。
チャイコフスキー4 交響曲第5番&スラブ行進曲
交響曲第5番は私はあまりよく聴く曲ではなかったが、改めて聴いてみて、すばらしくロマンチックな曲である ことに気付いた。スラブ行進曲の方は、良く耳にする名曲。
ムソルグスキー/レスピーギ 組曲「展覧会の絵」&交響詩「ローマの松」
冊子に載っているムソルグスキーの2つの肖像の間の変貌ぶりに驚いた。ひとつは若いときの将校姿で、 ほっそりした神経質そうな若者である。もう一つは、良く知られた晩年の肖像画で、鼻の頭が赤く 目がギロッとしたアル中の中年男である。もともと神経質で精神的に不安定だった人間が、酒に溺れて 身を持ち崩していくという典型的な姿を見るようだ。
ドビュッシー/ラヴェル 「牧神の午後への前奏曲」&「ボレロ」―フランス管弦楽名曲集
一時期、ラヴェルやドビュッシーが大好きになったことがあった。今でもそのときほどではないが、 こういう華麗で精緻な音楽は大好きである。
ブラームス1 交響曲第4番&ハンガリー舞曲第5番・第6番
ブラームスは重くて取っ付きづらいけど、良く聴いてみるとこの濃厚さが気持ち良くなる。 保守的と言われているけれど、池辺晋一郎の解説を読むと、たとえば交響曲第4番の第1楽章の 第1主題が実はユニークであることがわかる。こういうふうに新しさが玄人的に隠れているところが 通なクラシックファンが好むところであろう。
「アイーダ 凱旋行進曲」―オペラ名曲集・イタリア編
解説による豆知識2つ:(1) オペラは 16 世紀末のイタリアに始まり、19 世紀にイタリアオペラは 黄金時代を迎えた。(2) オペラ opera の語源は opus(作品・仕事)の複数形。
CD は、序曲や間奏曲といった管弦楽曲の名曲を中心にしてある。イタリア・オペラの曲は やっぱり全体的に派手だ。悲しみの表現も、つつましくはなく強く前に出てくる感じだ。
ビゼー/サン=サーンス 「カルメン」「アルルの女」&「動物の謝肉祭」
解説によると、19 世紀前半頃のフランス・オペラには3つの流れがあるのだそうだ。
(1) グランド・オペラ:大スペクタクル的なもの。主要作曲家は、外国からパリにやってきた人々で、 ケルビーニ、スポンティーニ、マイヤベーア、ロッシーニなど。
(2) オペラ・コミック:イタリアのオペラ・ブッファの流れを汲むもので、明るく軽快で優雅なもの。 劇の進行はセリフによって行われる。代表例は、ボイエルデュー「白衣の婦人」、オベール「フラ・ディアヴォロ」。
(3) リリック・オペラ:甘美で抒情的なもの。代表例は、グノー「ファウスト」、トマ「ミニヨン」。
CD に収録されている 小澤+ONF のビゼーは、明るくて軽快な演奏である。
ワーグナー 「タンホイザー」―管弦楽名曲集
ワーグナーは超大曲を書いたことで知られる。「ニーベルングの指輪」は上演に4日かかるのだそうな (実演奏時間は15時間半)。夏のバイロイト音楽祭で上演されるのだそうで、ということは、 ヨーロッパの人々は、長い夏休みを取って優雅に楽しむのだろう。
ベルリオーズ 幻想交響曲&ハンガリー行進曲
ベルリオーズは、生前母国フランスではあまり評価されず、むしろドイツやオーストリアなどの諸外国で 評価されたのだそうだ。当時としては、かなり過激な作曲家だったとのこと。たしかに、 「幻想交響曲」を作曲した 1830 年が、ベートーヴェンの第9の 6 年後だと聞けば、そりゃ斬新だったろうと思える。 今となっては、いかにもロマン派ちっくな楽しい交響曲なのだが、当時としてはロマン派が出始めたばっかりで、 ロマン派の出現を高らかに叫んでいるような曲だったわけだ。
グリーグ/シベリウス 「ペール・ギュント」&ピアノ協奏曲&「フィンランディア」
「ペール・ギュント」組曲は小中学校の音楽のでもおなじみなのだが、話の筋は知らなかった。 柴門ふみのエッセイにまとめてあった筋を引用しておく。
ペール・ギュントはノルウェーの伝説上の人物であるらしいが、恋人をほったらかしにして 他人の花嫁をかっさらい、飽きてポイ捨てし、魔王の娘と結婚するかと思ったら、次はモロッコ、 アラビア、エジプト、アメリカと旅に出る。が、年老いて故郷が恋しくなって戻ってみたら、 最初の恋人ソルヴェイグがずっと待っていてくれた。
これって、男の理想の生き方なんじゃないの?
あまり小中学生向きでもなさそうな話だ。
「フィガロの結婚 序曲」―オペラ名曲集・ドイツ編
巻末の解説には作品番号についての話が載っている。opus 以外にも作曲家ごとに番号がある場合がある。
ベートーベンWoO (Werke ohne Opuszahl), Hess (ヘス番号)
モーツアルトK (ケッヘル番号)
バッハBWV (シュミーダー番号)
ドメニコ・スカルラッティK (カークパトリック番号)
ヴィヴァルディRV (リオム番号)
ハイドンHob (ホーボーケン番号)
シューベルトD (ドイッチュ番号)
リストS (サール番号)、R (ラーベ番号)
ブルックナーWAB
ベートーヴェン5 交響曲第3番「英雄」&「エグモント」「コリオラン」序曲
ベートーヴェンに関する解説では、ベートーヴェンが恋した(かもしれない)女性たちが紹介されている。 気難しげな肖像画が有名なベートーヴェンも、けっこう惚れっぽい男であったかもしれない。
リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」―ロシア管弦楽名曲集
ロシアの名曲を集めた巻、といってもここで収録されているのは、「シェエラザード」、 「スペイン狂詩曲」「だったん人の踊り」だから、ロシア風というよりは異国情緒たっぷりの 華やかなものばかり。どこがロシア的なのだ?
リヒャルト・シュトラウス 交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」&「ドン・ファン」
オーケストラの規模が最大限に拡張した後期ロマン派の代表的作曲家の一人なので、 冊子の解説はオーケストラの歴史の話。オーケストラの語源は、古代ギリシャの円形劇場の中で 客席と舞台の間のコーラス隊が歌い踊るためのスペースだそうな。
最近 (2008/04/19)、名フィルで「ツァラトゥストラはかく語りき」の生演奏を聴いた。 大オーケストラを駆使した曲なので、楽器の使い方を見ることができたのが良かった。 冒頭のオルガンの低音の迫力、ソロのかけあいのおもしろさなど、CDではわかりにくいところがよくわかった。
「美しい夕暮れ」―いやしの名曲集
たまたまだけど、ガリレイとニュートンという名前が出てくるのが面白い。でも、有名な物理学者ではない。 ガリレイは、V・ガリレイで、ガリレオ・ガリレイのお父さんだ。 モノディ様式と呼ばれる音楽様式の作曲家として紹介されている。 ニュートンは、ジョン・ニュートンで、収録されている曲の一つの Amazing Grace の作詞者である。
ブラームス2 交響曲第1番&ハイドン変奏曲
ブラームスの妙味の一端を池辺晋一郎が解説している。交響曲第1番には、 5小節や9小節のメロディがあるのだそうな。やっぱりブラームスは深い!
メンデルスゾーン/シューマン 交響曲「イタリア」&序曲「フィンガルの洞窟」&ピアノ協奏曲
冊子では、クラシック音楽の伝統はメンデルスゾーンやシューマンのあたりで形作られたことが解説されている。 それまでは過去の作品を演奏する習慣はなかったのだが、メンデルスゾーンは、バッハの「マタイ受難曲」を 復活上演して、古典をレパートリーとするという伝統を作った。指揮者という職業を独立させたのも メンデルスゾーンである。音楽評論がポピュラーになったのもこの時代で、シューマンは評論家としても有名である。
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番&ヴォカリーズ
ロマンチシズム溢れるラフマニノフを楽しむ巻。
ガーシュウィン 「パリのアメリカ人」―アメリカ管弦楽名曲集
アメリカ音楽の有名どころが収録されている。明るい曲が多い中で異色なのが、バーバーの 「弦楽のためのアダージョ」である。これをふつうはアメリカ的とは言わないと思うけど、 大衆文化と離れた高度な知性が存在することもアメリカの一側面だという意味で、 この典雅な雰囲気がアメリカ的なのかなという気もする。
ドヴォルザーク2 交響曲第8番「イギリス」&チェロ協奏曲
解説にチェコとハンガリーの民族音楽の話がある。私が思うに、19世紀後半に民族音楽の時代を 迎えたチェコは幸せで、ドヴォルザークやスメタナという大作曲家が今でも世界で愛される音楽を作った。 一方、ハンガリーの民俗音楽は、20世紀前半のバルトークやコダーイの時代になるので、ちょっと難しい音楽に なっちゃって、それほどポピュラーでなくなった。日本は、西洋音楽が輸入されてちゃんと確立されるのが もっと遅れたので、世界で愛される日本民族風音楽というのがあまり無い(と私は思う)。 武満徹のような世界的作曲家はいるけど、あれは世界的普遍を目指していて日本風とは言えないと思う。
ストラヴィンスキー/プロコフィエフ 「春の祭典」「火の鳥」&「ロメオとジュリエット」
全50巻のこのシリーズの中で、いわゆる現代音楽はこれだけ。もちろんガーシュウィンなども 20世紀音楽ではあるが、現代音楽らしい尖鋭な実験性を持っている音楽という意味ではこれだけなわけで、 やっぱり「難しい」音楽は人々から愛されないわけである。とはいえ、「春の祭典」に限れば、 けっこう人気があるらしい。池辺晋一郎のコラムによると、最近のある音楽雑誌のアンケート結果では、 好きな曲ランキング、嫌いな曲ランキングともに「春の祭典」が2位になったそうな。
「乾杯の歌」―オペラ・アリア名唱集
有名なオペラのアリアが集められている。16曲中、イタリア語が13曲、フランス語が2曲、ドイツ語が1曲で イタリア語オペラの優位は圧倒的!
ハイドン 交響曲第101番「時計」&トランペット協奏曲&チェロ協奏曲
ハイドンの端正な響きを楽しめる名曲が集められている。とくに私が好きなのはトランペット協奏曲である。 トランペットの明朗で伸びやかな響きの魅力が、当時としては最先端楽器だったはずなのに 完成された形で提示されていると思う。 古典音楽の明朗さとトランペットの明るい響きとが合っていたということか?
ブルックナー/マーラー 交響曲ハイライト
指揮者の歴史の話が書いてあった。そもそも指揮者が生まれたのはそんなに古いことではなくて、 19世紀である。メンデルスゾーン (1809-1847) とハンス・フォン・ビューロー (1830-1894) の 二人が指揮者の地位を確立した。マーラー (1860-1911) も初期の指揮者の一人で、彼のおかげで クラシック音楽を芸術として聴く(静かに集中して聴く)ことが確立したのだそうだ。
ショスタコーヴィチ/ハチャトゥリアン 交響曲第5番「革命」&「剣の舞」
ショスタコーヴィチというと深く悩んでる音楽とか勇ましい音楽とかが思い浮かぶのだが、 ここに収録されている「ジャズ組曲第2番(ステージ・オーケストラのための組曲)」のワルツ第2番は そうではない。映画用に作られたものらしく、まさに映画風でレトロでちょっと退廃的な気分を醸し出している。 こんなのもあったのかと初めて知った。
「菩提樹」「魔王」―珠玉の名歌集
ドイツ・リートを中心とした名曲集。おなじみの曲多数。この巻では、ドイツ語が17曲、英語1曲(チェコ語の ものを英訳したもの)、ロシア語1曲、フランス語1曲。