建築家は住宅で何を考えているのか

東京大学建築デザイン研究室編、難波和彦、千葉学、山代悟 著
PHP 新書 545、PHP 研究所
刊行:2008/09/30
名大生協で購入
読了:2008/12/31
最近の建築家がデザインした住宅建築を、著者たちが評論を加えながら眺めてゆくという趣向の本。 専門の建築家がデザインした家には、いろいろ主張があるから、こんな家には住めそうにないと 思うものから、こんな家に住みたいと思うようなものまでさまざまである。 評している文章が、またいかにも建築家なのが面白い。建築学は理系ではあるのだが、 ちょっと文系的な言葉遣いなのである。そうなるのは、ライフスタイルのような社会学的なことを 言語化しないといけないのがたぶんひとつの理由で、たとえば「他者との関係性に関する 言説(こういうフレーズがあったかどうかは定かではないが)」なんていうような言い方に なってしまうのだろう。一方で、建築は、リアルに存在する材料を使った構築物であり、 単なる芸術ではないので、工学的な言葉遣いも必要である。そこが、建築を語ることの 面白いところである。