這い上がれない未来
Never-Climbing Society
藤井厳喜著
光文社ペーパーバックス 071、光文社
刊行:2005/12/20
千葉稲毛海岸の古本屋 BOOKS LIBRE で購入
読了:2009/06/12
著者が言っていることは単純である。それは以下のようにまとめられる。
まず、グローバル化した社会では格差が生まれるのは当然であるとする。
グローバル化するということは、労働市場が中国やインドとの競争に巻き込まれるということで、
当然賃金が減る。みんな給料が下がるかというとそんなこともなくて、中国やインドとの競争にならない
高度な技術を持っている人々は、収入を減らさなくて済むわけで、格差は広がるわけである。
一方、小泉似非改革では、改革の名の下に何もしなかったので、小泉政権は格差の広がりとは無関係である。
著者は、格差が広がるのは当然だが、機会が均等に与えられることが最も重要であるとする。
日本社会では機会が均等に与えられていないことが問題で、そのために国際的にも凋落していくだろうと
予想している。
いくつか興味深かったことの紹介
- 大学を独法化するのは意味がない。サッチャーでさえやらなかった。少なくとも旧帝大くらいは、
学費を安くして、教育の機会均等を保証すべきなのに、それに逆行している。富裕層しか
大学に行けなくなるようなことになれば、悪い意味での階級社会が待っている。
- アメリカは学歴社会である。学歴によって年収に歴然と差が付いている。ただし、日本のように
どの大学を出たかが重要なのではなくて、エリートが実力で評価されている。卒業後も競争が続く。
- 下流の人ほどブランドにこだわる。本当の上流はブランド以外のものを持っていないので、
ブランドの会話をしたりしない。