リンボウ先生 イギリスへ帰る
林望著
文春文庫 は 14 5、文藝春秋
刊行:1997/09/10
文庫の元になった単行本:1994/09 文藝春秋刊
A から借りた
読了:2009/08/30
ひとつひとつのエッセイでそれぞれイギリスの文化のいろいろな側面を紹介している。
どれを読んでも楽しめる。
以下、簡単なサマリー。
- 開け、ドア!
- 日本の玄関ドアは外開きなのに対し、イギリスのは内開きであることに関する考察。
- 壁面鑑賞講座
- イギリスの建築物の壁面の素材は、歴史と地域性を反映している。
- 医者と患者
- イギリスの GP (General Practitioner) は、患者の訴えをちゃんと聞いてちゃんと説明してくれる。
- 朝食における寛容の精神
- ロンドンの老舗ホテル「ザ・サヴォイ」で朝食を頼むと、客は注文をいろいろ選べるし、
コックもそれに対して柔軟に応えてくれる(マニュアル化されていない)。
- ホテルの教訓
- パリの安宿はひどい。
- ハードボイルドの魂
- 日本では卵を水から茹でるのに対し、イギリスでは沸騰した湯に卵を入れる。イギリスでは
スプーンで殻を剥く。
- 橋と運河
- 橋や運河が、つぎはぎを当てられながら残されて、風景の中に溶け込んでいる。
- ランドマーク
- 古い建物を宿泊施設として利用しながら保存する The Landmark Trust の話。
- 銀行のイギリス的流儀
- イギリスの銀行の対応はかなりいいかげんだが、結局何とかなる。イギリスの銀行は、
信用できないかもしれないが、信頼できる。
- ふた通りの親切
- イギリス人は個人的な信頼関係を大事にしている。
- 愛すべきシトロエン!
- シトロエンの車はへそ曲がりだ。
- 番号の利口と馬鹿
- 英国の車のナンバーは単純だけどうまくできている。尻尾もしくは頭のアルファベット1文字が登録年度を
表しているのがミソ。
- 洗濯論
- イギリスのコイン・ランドリー (launderette) には、人がいて、service wash と呼ばれる洗濯代行をしてくれる。
忙しい人間には実に便利なサービスである。
- 買物論
- イギリスのスーパーの生鮮食料品売り場には、量り売りがある。一人暮らしには便利だ。
客の側の合理性の方が、店の側の合理性より大切なはず。これに比べて、日本のスーパーは、
店の側に合理的にできているが、客の側にはあまり合理的でない。
- パブサインよ永遠なれ!
- パブサインに歴史を読む愉しみ。
- サヨナラ!
- イギリスの下層階級の英語について。
- コンスタブルそしてトルブース
- 画家コンスタブルの描いた風景を訪ねる旅。
- オペラの幻、幻のオペラ
- ロンドンで見たオペラの感想。
- 叡智それとも死!
- ミュージカル The phantom of the Opera を激賞!隠れたテーマは老いの衰えとセクシュアリティだ。
- 独断、ミュージカルを評す
- 「ミス・サイゴン」は、「マダム・バタフライ」のミュージカル版。隠れた人種差別の心が見えて、
嫌な作品だ。「サンセット大通り」は、一方通行の不毛の愛の物語で、カタルシスがない。
- 椅子型コントラバス奇談
- 骨董を買う話。