伝えるための理工系英語 適切な表現への手引き

宮野健次郎著
臨時別冊・数理科学 SCGライブラリ29、サイエンス社
刊行:2003/12/25
名大生協にて購入
読了日:2009/05/07
だいぶん前に買ってあって読んでいなかったのを、論文英語に関する講義をする機会に読んでみた。 ちょっと役に立つコツがいろいろ書いてある。著者が書きためていた覚書をまとめたという雰囲気の本である。 なので、あまり系統的でないのと、出ている例がちょっと難しめというか格好良すぎる表現が多い感じがする。 たとえば、salient という単語が何回か出ていて、確かに格好良いのだけれども、それほど論文では 見かけないと思う。とはいえ、いろいろ役に立つことが書いてあるし、 英文添削の仕方を見ていると、私にはなかなか真似できないうまい直し方をしている。

しかし、説明が全部正しいか不安を感じるところが少しあった。違っているんじゃないかと思うところを 以下にメモした(単なるミスプリかもしれないが)。 といって、語学の本では、完全というのは不可能に近いので、この本が悪いというわけではない。


以下は、初版第1刷でミスプリもしくは誤りと思われる箇所。

p.13 最後の行
(誤)the charge of electron
(正)the charge of an electron (文脈からすると、こう書こうとして an を抜かしたミスプリであろう)
p.16 2.7 の 16 行目
behavior, approximation は必ず不可算と書いてあるが、実際は可算名詞として使っている場合が かなりあるので、ここに挙げるのは不適当であろう。
p.24 l.4
(誤)We marveled the ingenious experiment.
(正)We marveled at the ingenious experiment.
p.65 7.7.1
the thickness of 1mm のような表現が出ているが、ふつうは(初出の時は)a thickness of 1mm が正しいと思う