利休に帰れ いま茶の心を問う
立花大亀著
主婦の友社
刊行:1983/04/15
名古屋市博物館の「はくぶつかん古書市」(2008 年 9 月)で購入
読了日:2009/02/23
臨済宗大徳寺の和尚さんが、茶や禅について語ったのをまとめたもの。
良くも悪しくも、いかにも禅のお坊さんらしい語りである。
私からすれば不満なのは、あまり学問的でないこと(どこまでがどのような
根拠に基づいているのかよくわからない)と、科学を嫌っているらしいことである。
科学は、自然に反すると思っているみたいである。気持ちはわからなくはないけど、
自然科学者としては、そんなことは言ってほしくはない。
下手に勉学をするより、修行が大事だと思うタイプの人のようだから、しょうがないけど。
茶道についての話で面白かったことを2つメモしておく。ただし、
どこまで正しいのかは不明である。
(1) 「侘び」について何通りかの説明がなされている。茶道では、けっこう値の張る道具を
使っているのに「侘び」とはどういうことか?という問題である。
- 頭を垂れていること、貧乏であること、病気をしていること
- 寂しい世界の奥に赤く燃える心があること
- 無駄を無くして省くこと
- 堺の商人だったのに、信長や秀吉のような田舎者の茶汲み男となった
利休らが持っていた権力への反感とか屈辱を耐え忍ぶ心の表れ
- 他の生き物を殺して生きている人間が、殺した生き物に詫びること
- 苦しい中で生き延びること
(2) 利休の死因は、石田三成の謀略であるとしている。当時の政治権力争いを二派に分けて
以下のように図式化している。三成は、秀長の死をきっかけにして利休を追い込んだとしている。
豊臣家 | 武将、官僚 | 大徳寺北派 |
淀君派 | 石田三成、小西行長、増田長盛 | 春屋 |
北政所派 | 大納言秀長、蒲生氏郷、細川三斎、千利休古渓 |