特集 大失業時代の闇

中央公論 2009 年 3 月号
中央公論新社
刊行:2009/03/01(実際は 2009/02/10 発売、でもこれを買ったのは 2009/02/09)
名古屋一社の文京堂書店で購入
読了日:2009/02/12
最近の不景気と失業問題を巡っての記事3つ。

(AKJYS) は、最近の派遣切り問題を中心とした失業問題に関する討論。 ここで討論している人たちには、さすがにあまり極端な人(失業する人の 自己責任だという人とか、その反対にすべて大企業と政治が悪いという人とか)は 入っていないので、それなりに気持ちよく読めた。この手の問題は、いろいろな問題がからむので、 いろいろな側面から議論するのが良いはずで、このメンバーはけっこううまく やっているように思った。最後の方で、「もう成長はいらない」と言っている人を 糾弾しているところがある。こんなことを言うのは、既得権や所得がある人が 既得権を守ろうとしているのだとしている。しかし、いつも思うのだが、 経済成長の本質の議論抜きにはこれはあまり意味の無い議論なのではないだろうか。 現在のような経済体制を前提にすれば、成長しないと失業が出るのだろうけど、 もっと長い目で見れば、経済成長の論理は破綻するように思える。

いくつか引用をしておく。

八代 「派遣の規制を緩和したから正社員が派遣社員になった」というのは まったくの誤解で、派遣が禁止されていた頃は、期間工という別の不安定雇用で賄っていました。 不況になれば正社員の雇用を守るために解雇するという点では、派遣と変わりません。
究極の解決策は、全員を非正規雇用にしてしまえばいいんです。 そうすると、同一労働・同一賃金も実施できるし、失業率もぐっと下がるでしょう。
雨宮 今は、自己アピール力やプレゼン能力のようなものが高い人は、 特別な技術や知識などを持っていなくても、そこそこうまくやっていける一方で、 少し不器用というか、巧妙に世の中を渡っていく能力のちょっと劣る人が、 軒並み生きられなくなっています。

(OH)は、いわゆる就活が茶番であると論じている。 内定の時期はどんどん早くなっているし、流行の「インターンシップ」は 「仕事ごっこ」に過ぎないというわけだ。

(PK)は、インタビュー記事。現在の経済危機を乗り切るには、公共投資などの 政府によるコントロールが必要だと論じている。また、バブル崩壊を起こさないためには 金融システムに対する規制が必要だと述べている。