悪い医者

半田宏著
データハウス
刊行:1989/04/11
廃棄してあったものを拾った
読了:2010/10/30
医者が、おそろしい本音を暴露するという本。著者名は本名ではない。 そうしている理由は「つまはじきにされることが怖いからである」と まえがきに正直に書いてある。文体からすると、 著者の話をゴーストライターがまとめているもののようである。 読みやすい話し言葉調で書かれている。

外科の話が多いから、著者は外科医なのであろう。 なので、手術の失敗の話など、けっこう怖い話がたくさん出てくる。 たとえば、

前ね、データがありましたよね。東大の偉い内科の教授だったけど、 誤診率は 17% もあったと…。手術の失敗はどうかな。易しい失敗も入れれば、 そのくらいかも知れない。

一番多いのは、手術しなくていい症例をするわけですね。だんだん悪くなって、 医者は死を目の前にするわけだ。こういう場合、 何故手術したのかと第三者が考えると、やっぱり外科医は切りたかったんじゃないか…と。 開けてから“なんだ、開けなくてもいい”という場合も、けっこうありますから。(p.131)

というような具合である。

とはいえ、世の中医者といってもごく真面目な人から不真面目な輩まで いろいろいるだろうから、ここに書いてあることは話半分に読むのが良いのであろう。

しかし、それにしても、私自身の見聞からして本当らしい話も含まれているから、 けっこう医者の実態を良く表しているのではという感じもする。 私自身の経験から納得したこと2つ: