外科の話が多いから、著者は外科医なのであろう。 なので、手術の失敗の話など、けっこう怖い話がたくさん出てくる。 たとえば、
前ね、データがありましたよね。東大の偉い内科の教授だったけど、 誤診率は 17% もあったと…。手術の失敗はどうかな。易しい失敗も入れれば、 そのくらいかも知れない。というような具合である。一番多いのは、手術しなくていい症例をするわけですね。だんだん悪くなって、 医者は死を目の前にするわけだ。こういう場合、 何故手術したのかと第三者が考えると、やっぱり外科医は切りたかったんじゃないか…と。 開けてから“なんだ、開けなくてもいい”という場合も、けっこうありますから。(p.131)
とはいえ、世の中医者といってもごく真面目な人から不真面目な輩まで いろいろいるだろうから、ここに書いてあることは話半分に読むのが良いのであろう。
しかし、それにしても、私自身の見聞からして本当らしい話も含まれているから、 けっこう医者の実態を良く表しているのではという感じもする。 私自身の経験から納得したこと2つ:
例えば、カゼをひく。すぐ抗生物質を出す医者と、しばらくは出さない医者が ありますよね。出す場合は、もちろん儲かりますね。 高いから、どんどん出すわけだ。けど、少し良心的な医者は「2,3日様子を みましょう」といって、解熱剤とか普通のカゼ薬だけをだすわけね。(p.52)今は医薬分業になっているから昔よりは改善されているのかもしれないとも思うが、 結局、だいたいどこでも病院の隣にほぼその病院専属の薬局があるような感じなので、 実質的にあんまり変わっていないような気もする。上で書いた近所の藪医者も、 隣に薬局があって、結局そこで薬を買うことになっていた。
基礎の貧乏教授が、唯一、給与以外に入るおカネが生徒の論文を見るとき なんですね。それも、おカネのない学生から取るわけだから、双方、 涙ぐましい努力をしてるわけです。通常、この謝礼は 20 万円から 50 万円くらいが相場だといわれています。学生だって認めてもらえないと 博士号が手に入らないわけだから、しょうがない。(p.151)この問題に関しては、大学がかなり厳しく禁止するようになったので、 さすがに今ではなくなったのではないかと思うが、どうだろうか?