赤ちゃんの不思議
開一夫 著
岩波新書 新赤 1311、岩波書店
刊行:2011/05/20
九大生協で購入
読了:2011/09/03
うちの娘は赤ちゃんと言うには大きくなりすぎて、この本に書いてあることは試し損なったけれども、
それでも赤ちゃんの脳の成長には関心があるので読んでみた。
ここに書いてあるのは、主として一歳以下の赤ちゃん研究の平易で比較的中庸な解説である。
最近では赤ちゃんは以前考えられてきたほど無能ではないということが分かってきたので、
人によっては「赤ちゃんは天才」みたいな書き方をすることがあるけれども、
著者はそんなふうには熱くはならずに、公平に最近の発展を書いている感じである。
子どもはボタンを押すのが好きというような身近な話題も含んでいて、興味深く読めた。
最初の章で研究方法の紹介があって、刺激に対する「注視時間」を使ったものが多いことが
解説されている。第5章では、その解釈に曖昧さが残ることも解説されている。
第5章では、EEG(脳波計)や NIRS(近赤外分光法)が赤ちゃんにも使えるように
なってきたことが紹介されている。
このように赤ちゃんの研究は進んできたとはいっても、まだ幼児教育に役立つほどには
進んでないようである。たとえば、早期教育の是非はまだ答えが出ていないそうだ(終章)。