3・11 本当は何が起こったか:巨大津波と福島原発 科学の最前線を教材にした暁星国際学園「ヨハネ研究の森コース」の教育実践

丸山茂徳 監修
東信堂
刊行:2012/05/30
地球惑星科学連合大会の出版社ブースで購入
読了:2012/11/20
丸山茂徳氏がヨハネ研究の森の生徒(中学生、高校生)を相手に語った 東北地震と福島原発事故の講義(第1章)とその後の議論(第2章)、 生徒によるレポート(第3章)、ヨハネ研究の森代表横瀬氏の教育理念(第4章) をまとめたもの。

第1章は、丸山氏の3・11観が存分に語られている。地震は、プレート境界ではなくて それと少しずれた陸側プレート内の断層であるとしており、津波は、海底地すべりによる ものであるとしている。こういったことは、今後検証されていくであろう。

第2章は、生徒の質問に丸山氏が答えるというものである。生徒さんはなかなか良い質問をしているし、 丸山氏も氏らしい答えをしている。最近地震が多い理由を、宇宙線のせいだと説明している。 これは、研究者から見ると面白いのだが、こういう非標準的な説を生徒がちゃんと適切に 受け止めてくれるかどうかは少し心配ではある。

第3章は、たしかに高校生のレポートしては出来の良いものだが、 あまり的確ではないことも書かれていて、収録する意味がどれほどあったのかは疑問。 高校生でもこれだけ頑張れるということを示したいのではあろうが、 全文載せる必要もないだろうし、載せるのならばもう少し注意書きを付けるべきである。

第4章は、ヨハネ研究の森コースでの実践が描かれている。このコースでは、 生徒たちがたいへんよく勉強するそうで、大学から見ても羨ましい限りである。 その基本的な考えが書かれている。その通りだと思うことも多いが、やや疑問なところもある。 実際に見に行ってみたいとよくわからないところがありそうだ。