惑星気象学入門 金星に吹く風の謎
松田佳久 著
岩波科学ライブラリー 183、岩波書店
刊行:2011/08/25
九大生協で購入
読了:2012/02/01
惑星気象学の概観。金星、地球、火星、木星と一通り盛り込んであり、手っ取り早く
ポイントとなることがらが学べる。
しかし、薄いという制約の中でいろいろ盛り込んであるので、素人には分かりづらいところも
ありそうだと思う一方で、私にはやや物足りない部分もあった。
また、このような一般向けの本ではありがちなこととして文献リストが無いので、
より深く学ぼうとしたときに引用されている文献がわからないのが不便である
(もちろんいろいろ検索すればほとんどわかるのではあるが)。
一番の読みどころは、もちろん著者の専門である金星のスーパーローテーションが
題材になっている第5章である。スーパーローテーションの原因が熱潮汐波だとする
高木・松田の最近の研究と、子午面循環だとする著者(松田)の昔の研究とが紹介されている。
ところで、些細なことではあるが、「〜と思われる」という表現が多用されているのが
少し気になった。最近では、この表現は使わない方が良いとされることが多いと思うのだが。