特集 鉄道 最前線

週刊東洋経済 2011 年 3 月 5 日号
東洋経済新報社 [電子書籍]
刊行:2011/03/05 (発売:2011/02/28)
電子書籍書店 zinio で購入
読了:2012/07/14
週刊東洋経済が最近毎年出している鉄道特集の昨年版。今頃取り出して読む。 全4パートからなる。

最初のパートは「鉄道はモノづくりの塊!」車両会社の紹介から始まるのが面白かった。 日本の車両メーカーでは、川崎重工、日立、日本車輌、東急車輛、近畿車輛が大手5社で、 そのほかにJR東日本、新潟トランシス、アルナ車両、東芝がある。 大手5社では、川崎重工と近畿車輛がオールラウンドメーカー、日立はアルミ車両に特化、 東急車輛はステンレス車両のパイオニア、日本車輌は新幹線という特徴がある。 小さな会社にはそれぞれのニッチがあり、JR東日本はステンレス製通勤車両、 新潟トランシスはローカル線気動車や保守車、東芝は機関車、アルナ車両は路面電車を製造している。

普段電車に乗るときは、どの会社が作った車両であるかなど気に留めないのだが、この記事を読んでから少し気になるようになった。 普段通勤で使っている福岡市地下鉄空港線・箱崎線で走っている 1000 系、2000 系は川崎重工、近畿車輛等複数のメーカーが作っているものらしいが、会社ごとの特徴はよくわからない。設計は全く同じで技術レベルはほとんど変わらないということだろうか。 地下鉄に乗ると、車両の端の壁に製造メーカーが書かれているのもあるが、書かれていないのもある(書いてある場所を知らないだけかもしれないが)。 同じ福岡市地下鉄でも、七隈線で走っている 3000 系は、アルミ製の曲線的なデザインのもので、これは日立製。日立製作所の特徴が良く現れた車両ということらしい。

その後、部品メーカー、保守・運行機器メーカーなどの紹介へと続く。 当然と言えば当然だが、鉄道は多様な技術に支えられて成り立っていることが分かる。

パート2は「世界の鉄道戦争」。海外への鉄道の売り込みの話である。 世界的には、シーメンス、ボンバルディア、アルストムがビッグ3で、 中国の中国北方機車車両工業集団公司、中国南車股份有限公司の2社が追い上げ中、 日本メーカーのシェアは全部あわせても1割程度なのだそうだ。 ビッグ3の中では、アルストムが苦戦中とのこと。

パート3は「国内鉄道最前線」ということで、新幹線、地方鉄道、路面電車、寝台車などの記事がある。 新幹線は大攻勢だけど、地方鉄道はいろいろ工夫をしているもののなかなか苦しい。

パート4は「都市圏鉄道の課題」。関東、関西で少しずつ違う都市圏鉄道事情の話、 東京の地下鉄統合の話など。東京の地下鉄は2会社あるために不便だけど、 東京メトロは黒字の一方、都営は赤字だとか、株式会社と公営企業の違いなどがあって、 統合はなかなか難しいようである。